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198話 ページ50

宝船が飛び向かうは九州だ。
雲行きが怪しく、どこからともなく畏れが感じられる。
そんな時に、船の上では人の姿であるAと玉章が立ち尽くしお互いを見ていた。

目を合わせてから何も話さない二人を他の面々は首を傾げている。
犬神は話を聞こうと間に入り二人の名を呼ぶが…

「なあ玉章、Aどうしちまったんだよ。ずっと黙ってるが…」
『玉章!?』
「え?」
「ああ…化猫のAで合ってたのか。」
「は?」

どうやら二人はお互いに見覚えがあっても、誰なのかはハッキリとしていなかったようだ。
犬神はなんの事か分からなくなり、とりあえず自己紹介をするようにと勧めた。

ちなみに…リクオはするまでもないという事で、その様子を見物するようだ。
最初は犬神が名を名乗り、続いて子犬を抱いたまま玉章が始める。

「四国八十八鬼夜行が若頭 玉章…と言っても奴良組である君達とは一度刃を交えたから分かるよね。」
『なら、私は名乗る必要ありませんね。』
「さっきまでお互いの顔忘れてたくせに何言ってるぜよ。」
「『……………。』」
「…に、睨むなよ。」

無言の圧をかけられ続ける犬神が不憫に思えたのか、獺祭が酒瓶片手に近づき名を名乗りだす。

「まあまあ、次は俺だねぃ…俺は酒呑愚連隊が若頭 獺祭ってんだ。好きなものは酒!あと祭りもいいねぇ…」ヒック
『「酔っぱらい…」』

酒を口に運んだ獺祭を見て、Aと玉章の台詞が見事に重なった。
それがツボにはまったのか獺祭は豪快に笑い出す。

玉章とAは嫌そうに顔をしかめ睨んでいる。
台詞が重なった事もそうだが、目の前の酔っぱらい男が自分達を見て笑う姿が不愉快だったようだ。

そんな仲間達を見て、リクオは静かに笑っていた。

(なんとまあ……仲のよろしい事で………ん?)

リクオが目にしたのは宝船の中からゆっくりと出てきた一匹の犬。
黒い毛並みが美しいその犬の首には、Aが以前の戦いで使用したお守りが下げられていた。
まさかの登場にリクオの口は開いたまま固まっている。

その犬はA達の後ろで立ち止まり元気よく鳴いた。

「わん!!」
「『!?』」

驚き振り向いたA達を黒い犬は尻尾を振りながらもう一度鳴く。
そして、Aと犬神、リクオの三人は同時にその子の名を叫んだ。

『「クロ!?」』
「わふ!」








こうして、四人とニ匹は九州へ向けて旅だったのだ。
この先で…かつての強敵と友人が共に、彼らより先に御門院家と戦う事になる。




続く。

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堕天使魔夜降臨(プロフ) - SORAさん» 犬神のツッコミは聞く事だけだったとかw……((苦笑) (2017年4月9日 11時) (レス) id: d184e113ad (このIDを非表示/違反報告)
SORA(プロフ) - 訂正します。【犬神さん】も生きてます(;・∀・) (2017年4月8日 22時) (レス) id: 67b18231a4 (このIDを非表示/違反報告)
SORA(プロフ) - 堕天使魔夜降臨さん» 狒々様も亡くなっております。百物語組編まで進んでいますが…亡くなる筈の方で生きているのは【針女さん】だけですね(゚▽゚) (2017年3月28日 21時) (レス) id: 67b18231a4 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使魔夜降臨(プロフ) - SORAさん» 鯉伴様はもうこの世に居なくなり狒々様はどうなったのじゃ? (2017年3月28日 8時) (レス) id: d184e113ad (このIDを非表示/違反報告)
堕天使魔夜降臨(プロフ) - SORAさん» おい!コラwwクロの技をポケモンの技にする?! (2017年3月28日 8時) (レス) id: d184e113ad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SORA | 作成日時:2016年12月25日 21時

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