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195話 ページ47

障子の向こうから覗いていたAと犬神は場の空気の悪さに冷や汗を流している。
皆が皆、孫であるリクオを下に見ており話にならないのだ。

「おいおい…リクオの奴、ヤバイんじゃねーか?」
『………フーッ!』
「威嚇すんなばか!…ただでさえピリピリしてんだから大人しくしろ。」

犬神に口を押さえられながらもAの目はリクオへと向けられている。
焦りを見せたのは少しだけ、彼は普段の穏やかさをなくし鋭い眼光と共に口を開いた。

「おだまんなさい。今は僕が…3代目だ。」
「「!」」

先程とは別人のような雰囲気と低い声に皆は口を閉じた。
その直後に話しだしたのは【酒呑愚連隊若頭 獺祭ダッサイ】だ。

「全員、会ったばっかし…よく分かんねーけど…」

体格が良く、太い縄を鉢巻のごとく頭に巻いている男の手には大きな酒が…
飲んでいたらしく酒の匂いがしている。
そんな彼が垂れた目を向けているのはリクオではなく、彼を見下し騒いでいた者達にだった

「なんだかさ、俺にゃあ…あんたらの方が臆して見えるぜ。」
「「!!」」
「こんだけ妖集めてガキが大見得切るなんざぁ、意思のでかさが成せる業ってね。」ヒック

更に酒を口に運び笑みを浮かべる彼を、ただの酒呑みとしか見ずに話を無視する者が殆どだ。
しかし、そんな獺祭やリクオに助け舟を出した者がいる。

「ね…間違ってる?あの酔っぱらい。」
「『!』」
「リクオの言っていることも…間違いかい?」

子犬を抱き座っている玉章の言っている意味が分からないのか、周りの妖怪達には?が浮かんでいる。
そして、Aの頭にも浮かんでいた。

(……どこかで…会ったような気がしますね。誰でしたっけ?)

彼女の中の玉章は暴れ狸のイメージが強すぎる為、今の彼に結びつかないようだ。

玉章は視線をリクオへとやり話を続ける。

「見た目は頼りないかもしれないけどね。筋は通っているだろう?……簡単に臆するほど弱くないのも知ってるしね。」
(玉章…)

それだけ言うと玉章は抱いていた子犬をあやす。
玉章の援護にリクオは喜び、Aは(あ!…あの子犬カワイイですねぇ。)などと思っていた。

これを機にリクオは大物達を前に臆することなく語りだす。

「皆さん。各々、何かは違いましょうがあっしらには…守るべきものがあるはずです。その為に先頭きって身体張るのが妖怪任侠の主なんじゃあないんですかい。」

彼の目はその体から程走る畏れは紛れもなく、妖の主としてのものだ。




続く

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堕天使魔夜降臨(プロフ) - SORAさん» 犬神のツッコミは聞く事だけだったとかw……((苦笑) (2017年4月9日 11時) (レス) id: d184e113ad (このIDを非表示/違反報告)
SORA(プロフ) - 訂正します。【犬神さん】も生きてます(;・∀・) (2017年4月8日 22時) (レス) id: 67b18231a4 (このIDを非表示/違反報告)
SORA(プロフ) - 堕天使魔夜降臨さん» 狒々様も亡くなっております。百物語組編まで進んでいますが…亡くなる筈の方で生きているのは【針女さん】だけですね(゚▽゚) (2017年3月28日 21時) (レス) id: 67b18231a4 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使魔夜降臨(プロフ) - SORAさん» 鯉伴様はもうこの世に居なくなり狒々様はどうなったのじゃ? (2017年3月28日 8時) (レス) id: d184e113ad (このIDを非表示/違反報告)
堕天使魔夜降臨(プロフ) - SORAさん» おい!コラwwクロの技をポケモンの技にする?! (2017年3月28日 8時) (レス) id: d184e113ad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SORA | 作成日時:2016年12月25日 21時

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