検索窓
今日:6 hit、昨日:6 hit、合計:97,093 hit

174話 ページ26

本来なら立つことすら奇跡に近い彼女は…最後の【練】を行い右拳に集めていく。

(妖である俺が言うのもなんだが……バケモノだな。)

近距離戦闘に不向きの鏡斎が勝つ事は不可能に近い。
そこで、筆をとり描いた妖怪達を囮に逃げを選んだが…
彼の両腕や脚は床ごと氷漬けにされてしまう。

「っ!…雪女…」
「逃さないわよ。…そのまま、あなたが弄んだ者達の怒りを…痛みをその身で受けなさい。」

冷たい目を向け睨む氷麗と迫る死に顔が歪む鏡斎…その二人の間にオーラも肉体も闇となったAが静かに立っている。
拳に力を込めて構えた彼女からは…纏いきれなかったオーラが漏れ出していた。

(…ああ……)

闇が迫って来る。
その気迫に威圧感、最初に感じた恐怖とも違う何か…
その異様な姿や雰囲気から…彼女の黒き瞳から目を離せないでいる鏡斎は自然と笑みを浮かべていた。

(……分かった……俺は…)
『〜〜っ!!』

凄まじい拳に鏡斎の体は血飛沫を飛ばしビルから飛ばされ、街明かりを背に落ちていく。
遠退く意識のなか、彼はAの瞳を思い浮かべていた。
そして、彼は知ったのだ…

(……俺は……彼女の畏れに…魅入っていたのか…)









鏡斎を倒してすぐにAは膝から崩れ落ちたが、両手を広げて狂ったように笑いだした。

「A…?」

心配する氷麗が近寄る事を許さず、拒む彼女は笑い続けた。
しかし、すぐに咳き込みながら倒れてしまい動けなくなってしまう。
隣まで来た氷麗に力無く『触らないで…』と口にした。

「大丈夫よ。わた『我が天使にヘドロはアカンねん。』…え?」

Aは仰向けになり息が荒く、目も虚ろとなっている状態には似つかわしくない発言をし始める。

『ふふふ…リーダー達の仇はとりましたよ…』
「…彼らは死んでないわよ。」

『へへへへ…これで皆の心配も無くなりましたね。死なないから安心してくださいねぇ〜』
「別の意味で心配なんだけど…」

『クックックッ…我が天使を堕天させようなどと…』
「……それって呪いのこと?呪いをかけられていたのは貴女よ。」

『ああ…川の向こうに知らない人達が手を振ってる。綺麗な花畑だぁ…』
「そのまま行ってみなさい。絶交よ。」
『ぐはぁっ!?』
「!?」ビクッ

氷麗の【絶交】という言葉を聞いて血を吐いたAは…そのまま意識を失ってしまった。
ようやく静かになった友人を、氷麗はため息を吐きながら背負いその場を去る。

「…お疲れさま。」




続く

175話→←173話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
124人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

堕天使魔夜降臨(プロフ) - SORAさん» 犬神のツッコミは聞く事だけだったとかw……((苦笑) (2017年4月9日 11時) (レス) id: d184e113ad (このIDを非表示/違反報告)
SORA(プロフ) - 訂正します。【犬神さん】も生きてます(;・∀・) (2017年4月8日 22時) (レス) id: 67b18231a4 (このIDを非表示/違反報告)
SORA(プロフ) - 堕天使魔夜降臨さん» 狒々様も亡くなっております。百物語組編まで進んでいますが…亡くなる筈の方で生きているのは【針女さん】だけですね(゚▽゚) (2017年3月28日 21時) (レス) id: 67b18231a4 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使魔夜降臨(プロフ) - SORAさん» 鯉伴様はもうこの世に居なくなり狒々様はどうなったのじゃ? (2017年3月28日 8時) (レス) id: d184e113ad (このIDを非表示/違反報告)
堕天使魔夜降臨(プロフ) - SORAさん» おい!コラwwクロの技をポケモンの技にする?! (2017年3月28日 8時) (レス) id: d184e113ad (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:SORA | 作成日時:2016年12月25日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。