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162話 ページ14

黒髪を上に結っているその男は、筆と竹で作られた墨入れを手に立っている。
その姿は鳥居の恐怖を…記憶を呼び覚ます。

「あ……ま、巻!」
「!?」

震える彼女は巻にしがみつき、【地下鉄の少女事件】での犯人だと話した。
彼の視線が言い知れぬ畏れが鳥居が味わった恐怖を思い起こさせる。

「嫌だぁ…!」
「…やあ、また会ったね。」
「お前が…ニセモンの鳥居を作ったやつか…!」
「………君は?その子の…友達かな…?」
「……だったら何だよ。」

巻の問いに男は笑みを浮かべ「君でもいい絵が描けそうだ。」と呟く。
そして、捉える為に妖怪達に指示をだした。
襲い来る多くの妖怪を前に巻は臆する事なく、左腕にしていた数珠を妖怪に向ける。
すると光輝き妖怪を滅していく。
相手の動きが止まっている間に巻は鳥居の手を取りエスカレーターの手すりを滑り降りて行った。

「巻?い…今の何ー!?」
「いや、ほれあったじゃん!?京都で花開院家にいたときにさー!」

京都で花開院家に匿われていた時に、ゆらと魔魅流が護身用に【人入の札】と【数珠】を手渡していた。
それを巻は使用したのだ。
二人に礼を言いながら滑り降りていく巻達だったが、上からも下からも妖怪が迫っていた。

「この…お札キック!!」
「!」

人入の札を足の裏に貼り付けて下から来た妖怪に当てると、大量の水がエスカレーターを流れ始める。
それにより妖怪は全て流され二人は無事に外へと出れたのだが…

「……そ、そんな…」
「だ、だめか…?」

目の前には先程とは比べ物にならない大きさと人数に二人は血の気が引いていった。
その直後に巻の首に鞭が巻きつき後ろへと引っ張られていく。
倒れこみ苦しむ彼女を見ているのは先程の黒髪の男だ。

「巻ィ!?」
「うぐ…ぐ…」
「だから言ったろ…逃れられないって。この渋谷地獄絵図からはな…」

どうやら巻の事も気に入ったらしく「妖怪にしたら…」と嬉しそうだ。
これ以上は危険だと思った鳥居は御守袋を握るが…どうしてもAと清継の顔が頭を過ぎってしまう。
それは巻も同じのようだ。

「ぅぐ……A…くん…」
「わ、私が代わりに…!」

自身が囮となり同じ数珠で巻を助けようとした鳥居が前へと進んだその時…
背後より大きな破壊音が鳴り、地響きと共に土埃が舞った。
そして、次々に妖怪達の悲鳴が上がる。
突然の事に男も鳥居達も警戒するが何者かの叫びにより状況は一変する。

『悪い子はー!いねぇーがー!!?』
「「!!」」

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堕天使魔夜降臨(プロフ) - SORAさん» 犬神のツッコミは聞く事だけだったとかw……((苦笑) (2017年4月9日 11時) (レス) id: d184e113ad (このIDを非表示/違反報告)
SORA(プロフ) - 訂正します。【犬神さん】も生きてます(;・∀・) (2017年4月8日 22時) (レス) id: 67b18231a4 (このIDを非表示/違反報告)
SORA(プロフ) - 堕天使魔夜降臨さん» 狒々様も亡くなっております。百物語組編まで進んでいますが…亡くなる筈の方で生きているのは【針女さん】だけですね(゚▽゚) (2017年3月28日 21時) (レス) id: 67b18231a4 (このIDを非表示/違反報告)
堕天使魔夜降臨(プロフ) - SORAさん» 鯉伴様はもうこの世に居なくなり狒々様はどうなったのじゃ? (2017年3月28日 8時) (レス) id: d184e113ad (このIDを非表示/違反報告)
堕天使魔夜降臨(プロフ) - SORAさん» おい!コラwwクロの技をポケモンの技にする?! (2017年3月28日 8時) (レス) id: d184e113ad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SORA | 作成日時:2016年12月25日 21時

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