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「んー……よし、決めた!」
何か思いついたようにヴィクトルは得意げに俺たちを見下ろす。
「俺のショートプログラムの曲で明日から2人に振り付けをする!」
「はぁぁっ!?こいつと同じ曲のを!?」
ほら見ろ。嫌な予感的中。こいつは変なところでも俺をおどろかせる。だが、俺は豚と同じ曲なんて絶対ごめんだ。
「いや、この曲にはアレンジ違いのものがいくつかあってどれを使おうか悩んでいたところだ。もちろん、それぞれ別のプログラムを考えるよ。
一週間後に発表会をしよう!どっちがより観客をびっくりさせられるか勝負だ‼」
はぁ?こいつと俺が勝負?勝負になんのか?だが、それはそれでおもしれぇ。この豚をこてんぱんにしてからヴィクトルを連れて帰るのもいいかもしれない。
「ヴィクトルが勝った方の言うことを何でも聞く!これならやるぜ‼」
「いいねぇ!そういうの大好きだよ‼」
おどおどしている豚をよそに俺はヴィクトルに条件を突き付けた。絶対俺が勝ってヴィクトルをロシアに連れて帰る‼
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ほのかに晩ご飯のカツ丼の匂いがしてくる居間で、私は暇を持て余していた。
「勇利とヴィクトルまだ帰ってこないのかなー」
一週間ほど前から私はいとこの勇利の家に遊びに来ている。家に少し居づらくなったので、家出してきてしまったのである。でも勇利のお母さんは優しいから、どんな事情であれ、私を優しく受け入れてくれた。本当にありがたい。
ゆーとぴあ勝生は相変わらず落ち着く場所で、温泉は気持ちいいし、叔母さんのカツ丼は最高においしいし、私は大満足だ。
少し前に世界フィギュア王者というヴィクトルが訪ねて来た時はびっくりしたけどね!
しかし、問題が一つ…
とにかく暇‼
ヴィクトルが来てからは勇利は毎日スケートの練習でいないので私の遊び相手はヴィクトルの愛犬マッカチンのみである。
「さみしいねぇ…マッカチン…」
「クゥ〜ン」
主人の不在が悲しいのか、マッカチンも私と同じ面持ちだ。
そんな訳で2人の帰りを心待ちにしていた私とマッカチンは扉がガラガラとなった音に光の速さで反応した。
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作者名:蒼葉 | 作成日時:2017年3月8日 20時