09.遊戯、来ぬ者、井戸の中 ページ16
昔の話、今剣が人の遊戯に興味を示し、共に鬼ごっこという遊戯をしていた際に今剣がいなくなった。
流石短刀というべきか、今剣は隠蔽が非常に上手く、また俺より先に顕現をし出陣に赴いていたからか機動も俺を遥かに上回っており、その小柄な体を駆使し逃げ回る今剣を俺は時間内に捕まえる事は出来なかった。
遊戯の時間を過ぎそろそろ昼餉、という頃合。俺は近くにいるであろう今剣へ声を掛け先に大広間へと向かい昼餉を食べた。だが俺が昼餉を食している時間どころか、就寝してしまう時間まで今剣は戻って来なかった。
もしや俺が今剣を捕まえられぬから脹れでもしたのか？
少々信じ難い事(今剣は捕まえられなかった方が嬉しいだろう)ではあるが、翌朝になり俺は今剣を捜す事にした。他の者にも事情を説明し今剣を捜してくれるよう呼び掛ける事もした。
そして本丸内を探索している際に、ふと、本丸の隅に井戸があった事を思い出した。木の陰になっており一見すると判りにくいが、確かあの井戸は脇差程までであれば体が入る程の広さであった筈。
もしや今剣は井戸の中に落ちたのではないか、そう考えついてしまうとどうにも気に掛かり、俺は早速井戸を見に行こうと庭を歩いていた。
すると庭に面した縁側に主が腰掛けているのを視界の端に捉え、念の為にと主のもとへ行き声を掛けた。
「主よ、今剣は来ておらぬか？」
「今剣？....ううん、まだ来てないよ。」
ごめんね、と詫びられ俺は「よいよい、主の所為ではないわ！」と笑い返したが主はどうにも気に病んでいるようで顔に活気がない。
「主。今剣もきっとお主を気に入ってはおるのだ。なに、あ奴とは兄弟刀。言葉を交わさずともあ奴の心情は承知しているつもりだ。」
「....うん、ありがとう岩融。」
そう言い主は無理に作っているのであろう笑みを浮かべた。
その後、一言二言交わし主と別れた俺は再度井戸へと歩を進めていた。主の事を考えながら。
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三井 聖夢(プロフ) - 誤字発見しました。長曽根では無く、長曽祢ですよ (2017年7月12日 1時) (
レス) id: 8eacfdc508 (このIDを非表示/違反報告)
紫蝶桜 - 青江は一家に一台必要だな(真顔) (2017年6月28日 14時) (レス) id: 4bd53c1755 (このIDを非表示/違反報告)
ちみ - 押し入れ・・・。うちにも押し入れある・・・。アカアアアアン！！これから開けれない・・・。 (2016年7月30日 9時) (レス) id: 1cf67d3182 (このIDを非表示/違反報告)
安定ほなみ - 青江さんか石切丸さんがいればよかったのに･･･ということはまさか･･･！おしいれの中に居たのはアイツか･･･！怖ッ･･･！ (2016年1月6日 17時) (レス) id: 97261ea5d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天野 氷空 | 作成日時：2015年11月7日 12時
