宙～SORA～ (ページ6)

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Aside

ｷｰﾝｺｰﾝｶｰﾝｺｰﾝ

海「A！！帰ろ！！！」

早っ！

A「分かったから！ちょっと待って！」

海「はー明日はAと1日一緒なんて楽しみすぎる！」

どうも、手帳を買いに行くという本来の目的よりも、他の事を楽しみにしてるような気がするのは私だけでしょうか？

A「中学の時も一緒に遊んでたし、寄り道もしてたじゃん」

海「でもさぁ、夏休みデートとか、高校生らしいじゃん！青春だよ！エモくない？」

ニコニコしながら会話をしていてほんと嬉しそうw

あっ！とふと思い付いて私は鞄からスマホを取り出した

海人にバレないようにカメラを起動させる

そして、満面の笑みの横顔に向けてシャッターを押した

ｶｼｬｯ

海「え！？なに？撮ったの？？」

海人が目をまん丸にして振り向いた

A「だって海人があまりにも嬉しそうだったから…笑」

海「えぇー！なんで！？俺絶対変な顔してたよ！」

A「おっ！流石分かってんじゃん！！笑」

いつもからかわれてるから今日こそはと嘘をついた

スマホをポッケになおして上履きからローファーに履き替える

海「まぁ別にいいけどね！どうせ大した顔じゃないんでしょ？でも、なんで急に写真なんか撮ったの？珍しい」

海人の一言で言葉が詰まる

A「…何でもない。別に、意味なんてないよ」

少し俯いて答えた瞬間、自分の靴を映してた視界に当然海人の顔が現れた

A「っうわ！びっくりした！！何急に！」

海人は黙って私の顔を覗き込んでる

A「なんか顔に付いてる？」

尋ねても答えはない。
ただ静かな視線がわたしの目をとらえるだけ。

A「ねぇ、そんなに見つめられたら照れる…！」

そう言ってそのまま玄関から出てら駐車場へと一直線に歩いて行く

海人は私の隣に並んで歩きながら、まだじっと凝視している

A「ねぇ、いい加減見てくるの辞めてくれる？なんか付いてるの？」

海「いや、何も付いてないけど…昨日からのA変だよ！なんか」

え？急にディスられた？

A「何急に変ってwてか早く帰ろ！」

誤魔化すように笑ってみせたけど海人は笑わない

10年間殆どの時間を海人と一緒に過ごして、その絆の強さはもう家族のような物だから、適当な誤魔化しなんてきかないのは仕方がない。

でも、ごめん。

これを言ったらきっと君は涙を流す

その綺麗な顔に涙なんて似合わないから。

私は初めて君に嘘をつきます。