MESSAGE �供寝�昏の少年へ ページ30
「突然何を言いに来たかと思えば…まったく。」
不意に近づいた気配に、少年の身体が強ばる。やっぱり、今更都合が良すぎたのか─そう不安になる少年を余所に、ガノンドロフは遂に少年の目の前に立った。
「小僧、顔を上げろ。」
有無を言わさないその口調に、ごくりと生唾を飲み、少年は意を決して顔を上げた。
─そこには、予想に反し、不敵に笑みを浮かべる魔王の姿があった。目を丸くする少年を見下ろしながら、魔王はふん、と鼻を鳴らす。
「世話してやった覚えは無い…が、別れを前にして、自らオレの元へ言葉を告げに来た事は、褒めてやっても良いだろう。─ああ、そのついでに教えてやる。」
─オレは暫し眠りにつくが、あの2人同様、別の『ガノンドロフ』が此処へ来る。精々、首を飛ばされないよう気をつける事だ。
そこで言葉を切ったガノンドロフは、何を思ったのか─不意に少年の頭を、その大きな手で1度だけ撫ぜ、似つかわしくない優しい声色─勇者がその場に居たのならば、2度見していただろう─で告げる。
「─己の中の《悪》を手懐けてみせろ、小僧。」
これには少年もぽかんと口を開け、魔王を見上げる。魔王は既に腕を組み、目を閉じて「もう何も言うことは無い」と言わんばかりの態度だった。
『…キリア。』
「─ぁ、ごめんなさい…ミュウツーさん。」
『否、気にするな。─ワタシからも1つ、オマエに告げておこうと思う。』
脳内に響き渡るミュウツーの声に、キリアは我に返る。常に無表情のミュウツーだが、この時ばかりは、その表情に僅かな翳りが見えていた。
─それは、人の手で造られた生命…禁忌の命であるからこそ、少年に対して抱く思いがあるからだった。
『ワタシが造られた生命である事は、既に知っているな？』
「─はい。」
『…ワタシは、自らの存在理由を求めていた。何故生まれ、何の為に生きるのか…と。』
鋭い目が、少年を真っ直ぐに射貫く。気圧されそうになりながらも、少年はその目を正面から見返した。
『答えは、未だ見つかっていない。それを歯痒いと感じることもある。…だが、此処へ招かれ、1つ解ったのは─』
─禁忌であるワタシの存在もまた…何者かにとって《英雄》と呼べるのだということだ。
ミュウツーは長い尾を揺らし、未だ幼い少年へ続けて告げた。
『─キリア。この世界に存在するオマエもまた、誰かの英雄足り得るのだろうと、ワタシは思っている。』
その言葉に、少年の目は大きく見開かれたのだった。
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チイチ(プロフ) - Mirai atさん» コメント有難うございます(^^) 展開は幾つか考えた中から選んだ物なので、意外に思って頂けたなら幸いです！それが狙いでもありましたので…(笑) これからも頑張らせて頂きますね！ (2019年11月11日 2時) (
レス) id: a34c130848 (このIDを非表示/違反報告)
suwaro - チイチさん» 返信くれた！？めっちゃ私も嬉しい！ありがとうございます！ (2019年11月10日 20時) (レス) id: 1a4b63d778 (このIDを非表示/違反報告)
Mirai at(プロフ) - 意外な展開ですねー。頑張ってください! (2019年11月10日 9時) (レス) id: 86ab96dee6 (このIDを非表示/違反報告)
チイチ(プロフ) - suwaroさん» ！！！まさかコメントを頂けるとは…有難うございます…！嬉し過ぎます…！これからも頑張らせて頂きますので、どうぞ宜しくお願いします〜！ (2019年11月8日 21時) (レス) id: a34c130848 (このIDを非表示/違反報告)
suwaro - 続きが楽しみです! 頑張ってください! (2019年11月8日 21時) (レス) id: 1a4b63d778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チイチ | 作成日時：2019年6月18日 23時
