AUTUMN／涙、ひとひら。 ページ27
「キリア、あのな─オレ、此処に居るのは、今年が最後になった。」
それは、あまりにも唐突で。頭が真白になったボクの手から、ぽとりと食べかけの焼き芋が落ちた。
＊
熱気に満ちた夏が終わり、厳しい残暑も過ぎて。心做しか涼し気な装いをしていた皆が見慣れた格好に戻る頃には、季節はもう秋になっていた。
今年の夏は、凄く楽しかった。キャンプに行ったり、ポポとナナが氷山登山に行ったお土産に持って帰ってきた大きな氷でかき氷を作ったり、ピーチさんやゼルダさんに文字や勉強を教えてもらったり…本当に、沢山のことをした。
秋はどうなるのかな─そう思っていた矢先、全身を運動向けの格好に包んだマスターさんが「芋堀り＆焼き芋大会をしよう！」と叫びながらボク達の前に現れた。…ファルコさんとドンキーさんに「煩い」って言われて吹き飛ばされていたけど、大丈夫かな…
─まあ、そんな流れで、ボク達は少し歩いた所にあるサツマイモ畑に来た。
まずは芋を掘らなきゃ─という事で、一人一人スコップを持って掘り始めたんだけど…
ムカデにナナが悲鳴をあげて転んじゃうし、ボクは芋を上手く掘れなくてポキッと折っちゃうし…中々大変だった。
それでも、終わる頃には沢山のサツマイモの小山が出来るくらいで。焼き芋だけじゃなく、ルイージさんとリンクさんがスイートポテトまで作ってくれた。これが、とっても美味しかった！
─でも。皆が思い思いに食べて、一段落した頃…余った焼き芋を食べていたボクの横に来て座ったリンクさんは、冒頭の言葉を零したのだ。
＊
「…えっ、と…」
「─ごめん。オレもまだ、正直に言うと気持ちの整理が付いてない…けど、この間マスターに夜中に姫と─ゼルダと一緒に呼び出されて、そう言われたんだ。」
視線は交わらない。ボクが見つめる、いつもは光に溢れた青い瞳は今、足元の茶色い草地に向けられていた。
─さわりと、涼風が抜ける。お互いに無言の時間が、とても長く感じた。
「本当は─」
沈黙を破ったのは、リンクさんだった。漸く、彼とボクの視線が交わる。
「本当は、お前には黙っていようかと思ってたんだ。」
「何で、ですか。」
「だって、言ったらさ─」
そっと伸ばされたリンクさんの手が、ボクの目元を撫でる。何かを拭われた感覚で、ボクは、自分が泣いていることに気づいた。
「─泣かせるって、思ったから。」
そう言って苦しそうに笑ったリンクさんに、ボクの視界は、ますます滲んだのだ。
CHRISTMAS／交わされたもの→←MIRROR／忍び寄る暗雲
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チイチ(プロフ) - Mirai atさん» コメント有難うございます(^^) 展開は幾つか考えた中から選んだ物なので、意外に思って頂けたなら幸いです！それが狙いでもありましたので…(笑) これからも頑張らせて頂きますね！ (2019年11月11日 2時) (
レス) id: a34c130848 (このIDを非表示/違反報告)
suwaro - チイチさん» 返信くれた！？めっちゃ私も嬉しい！ありがとうございます！ (2019年11月10日 20時) (レス) id: 1a4b63d778 (このIDを非表示/違反報告)
Mirai at(プロフ) - 意外な展開ですねー。頑張ってください! (2019年11月10日 9時) (レス) id: 86ab96dee6 (このIDを非表示/違反報告)
チイチ(プロフ) - suwaroさん» ！！！まさかコメントを頂けるとは…有難うございます…！嬉し過ぎます…！これからも頑張らせて頂きますので、どうぞ宜しくお願いします〜！ (2019年11月8日 21時) (レス) id: a34c130848 (このIDを非表示/違反報告)
suwaro - 続きが楽しみです! 頑張ってください! (2019年11月8日 21時) (レス) id: 1a4b63d778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チイチ | 作成日時：2019年6月18日 23時
