MIRROR／忍び寄る暗雲 ページ26
モニターに映るのは、この世界を示す地図。見た目には何の異常も見えないが、数値に表れる確かな『異常』に、思わず長く溜息を吐く。
管理も楽じゃあない。ただ、日々異常が出ないよう見守るだけでもかなりの重労働なのに、その上厄介な異常の対処だなんて…考えただけで、胃が痛い。
「…キリアに、何も無ければ良いんだけれど…」
「─そのキリアってのは、あのひょろっこい子どもの事か？
ぽつりと零した独り言に、予期していない返答があった。…しかし、その声の主が誰であるかを良く知っているからこそ─再び、先程よりも深く溜息を吐いた。
「…
「さあ？忘れたなァそんな事。それよりも、お前。見ないうちにまた面白いモノを拾ったんだな？」
「『この世界に原初から存在するモノの管理』─つまり、その末裔である彼やその父を見守る事…それは、私達の役割だからね。」
モニターから目を離して振り向けば、今の自分と見分けのつかない姿をした、片割れ。…と言っても血がどうと言う訳ではなく、正しくは対になる存在…所謂同業者なんだけれど。
私の返答に、クレイジーは歪に口端を吊り上げた。その仕草に、ざわりと胸の奥が騒ぐ。同業者ではあるが、真逆の性質を持つコレとの相性は、昔からお世辞にもよろしいとは言えない。
「そうか、そうか。それだけが理由とは思えない、が…まァ、創造神サマが言うならそういう事にしておこうか。」
「……」
「けどなァマスターさんよ。アレは、言うなればお前とオレが交ざり合ったようなモンだ。破壊と創造…宵闇と、綺羅。互いが別々に存在しているオレとお前でさえ、こうして近付けば多少なりとも精神にブレが出る。─それを、アレは常に内包している。」
かつり、かつり。
「─このまま見ているだけなら…近い未来、アレは死ぬぞ。」
そう、小さな声で零した。
背を向けたモニターには、相変わらず地図が映し出されている。クレイジーは私の横を通り過ぎ、モニターに指を滑らせてその中のある場所を拡大した。
─それは、海上に浮かぶ大きな島だった。それ自体は遥か昔から存在するモノだが…そこから発された『何か』に触れた動植物は皆、瞬きの後に消え去っていく。
…異常は静かに、しかし、着実に忍び寄っていた。
AUTUMN／涙、ひとひら。→←DIARY／そっくり、びっくり。
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チイチ(プロフ) - Mirai atさん» コメント有難うございます(^^) 展開は幾つか考えた中から選んだ物なので、意外に思って頂けたなら幸いです！それが狙いでもありましたので…(笑) これからも頑張らせて頂きますね！ (2019年11月11日 2時) (
レス) id: a34c130848 (このIDを非表示/違反報告)
suwaro - チイチさん» 返信くれた！？めっちゃ私も嬉しい！ありがとうございます！ (2019年11月10日 20時) (レス) id: 1a4b63d778 (このIDを非表示/違反報告)
Mirai at(プロフ) - 意外な展開ですねー。頑張ってください! (2019年11月10日 9時) (レス) id: 86ab96dee6 (このIDを非表示/違反報告)
チイチ(プロフ) - suwaroさん» ！！！まさかコメントを頂けるとは…有難うございます…！嬉し過ぎます…！これからも頑張らせて頂きますので、どうぞ宜しくお願いします〜！ (2019年11月8日 21時) (レス) id: a34c130848 (このIDを非表示/違反報告)
suwaro - 続きが楽しみです! 頑張ってください! (2019年11月8日 21時) (レス) id: 1a4b63d778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チイチ | 作成日時：2019年6月18日 23時
