SUMMER／残影 ページ24
「─カービィ、マルスさん！カニ、カニがいる！」
ズボンを膝上まで捲り上げ、川の中程から叫ぶキリアに、僕とカービィ君は苦笑した。岩に腰を下ろした僕らの後ろからは、昼食の片付けをするルイージ君とリンクや、タープを張り終わって一息つくマリオ君、フォックス君の声が聞こえている。
視界の片隅では、今まさに子供組が彼のいる川へと飛び込んでいった。
─ジメジメとした梅雨を超え、夏を迎えたこの世界で、僕らはマスター主催のサマーキャンプに来ていた。
＊
「はー、いっぱい遊んだ！」
「あれ、キリアは？さっきまでいたよね？」
「あ、キリアならはしゃぎ過ぎたみたいで…疲れて眠そうだったから、マルスとカービィに預けた！」
「そっかあ。…なんかキリアって、小さい子みたいだよね。」
「ふふっ、でもいいんじゃない？可愛い弟みたいで楽しいし！」
─以上、木陰でそれとなく子供組の監視役をしていたミュウツーの聞いた、川遊び後の彼彼女らの会話である。因みに、依頼したのはマリオだった。
＊
「あーあ、だからはしゃぎ過ぎたらだめだよって言ったのに…」
これだからキリィは、なんて言いながらも、僕の背で眠る彼の頬をつつくカービィ君の顔は、すっかり緩みきっている。身長差から、カービィ君は僕の頭の上を定位置としているので、僕は首が痛くなってしまって仕方ないのだけれど。
「まあ、良いじゃないか。キリアがああして、年相応の笑顔を浮かべながら遊ぶだなんて…前の僕─いや、僕らには想像も出来なかっただろう？」
そうだけどさ、というカービィ君は、つつくのをやめて彼の頭の上に乗った。増した重みにか、彼が小さく呻く。
─辺りの景色が、柔らかい色に染まっていく。
夕飯は何を予定していたんだったかとぼんやり考えていた耳に、何処からか寂しげに無くヒグラシの声が聞こえていた。
「……前、か。」
─それは、ふと零れてしまった独り言だったけれど。僕の脳裏には、花の咲くような笑みのキリアと重なって…あの、昏く寂しい笑顔を常としていた
例え、幾ら今が幸せであっても。…僕は、
「…何考えてるのさ。眉間にこーんなにしわ寄せちゃって、もう。」
前は前、今は今でしょ─そう言う彼もまた、その目には隠し切れない昏いモノが覗いていた。
(一体、いつまで？)
(きっと、一生縛られる。)
DIARY／そっくり、びっくり。→←WORK／少年、奮闘の巻。
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チイチ(プロフ) - Mirai atさん» コメント有難うございます(^^) 展開は幾つか考えた中から選んだ物なので、意外に思って頂けたなら幸いです！それが狙いでもありましたので…(笑) これからも頑張らせて頂きますね！ (2019年11月11日 2時) (
レス) id: a34c130848 (このIDを非表示/違反報告)
suwaro - チイチさん» 返信くれた！？めっちゃ私も嬉しい！ありがとうございます！ (2019年11月10日 20時) (レス) id: 1a4b63d778 (このIDを非表示/違反報告)
Mirai at(プロフ) - 意外な展開ですねー。頑張ってください! (2019年11月10日 9時) (レス) id: 86ab96dee6 (このIDを非表示/違反報告)
チイチ(プロフ) - suwaroさん» ！！！まさかコメントを頂けるとは…有難うございます…！嬉し過ぎます…！これからも頑張らせて頂きますので、どうぞ宜しくお願いします〜！ (2019年11月8日 21時) (レス) id: a34c130848 (このIDを非表示/違反報告)
suwaro - 続きが楽しみです! 頑張ってください! (2019年11月8日 21時) (レス) id: 1a4b63d778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チイチ | 作成日時：2019年6月18日 23時
