RAINY／とある日の話。 ページ22
─ぽつぽつと降り始めた雨は、全員が昼食を終える頃には本降りになっていた。
まだおやつまでには遠く、けれど何をしようにも、灰色の空とざあざあという雨音に、やる気がみるみる吸い取られていくみたいだ。窓際の席、机の上に工具を広げてブラスターを弄るスターフォックスの2人は、さっきから窓の外を見ては何度も溜息を吐いている。…時折聞こえる舌打ちは、全部ファルコだけど。
2人から、視線をキッチンの中に移す。─大きな冷蔵庫の前に、緑衣の勇者…リンクの姿。
座り込んで真剣に中を覗いていた彼は、何かに気づきハッとした顔をした後─ちらりと一瞬だけ窓へ視線をやって、やっぱり溜息を吐いた。…リンクは濡れても良いんだろうけど、食材は濡れたらダメだもんね。
広い食堂の中央付近の席には、揃ってティーカップを傾けるピーチとゼルダの姿。…甘くていい匂いがするなあ。キリィは甘いの好きだから、飲みたがるかも。
「ねえ、キリィは─」
こっそり観察するボクの隣には、ピーチとゼルダとはまた違った匂いの紅茶を飲みながら本を読むマルスが居る。そして、彼を隔てたその向こうに居るはずのキリィを呼ぼうとして─
「……あれ？」
ちょこんと収まっていたはずの彼の姿が、すっかり消えていることに気づいた。
びっくりして、ぱちぱちと何度か目を瞬いてから、何食わぬ顔で本を読み続けるマルスの手を、ちょいちょいとつつく。
「─カービィ君？どうしたんだい。」
「ねえ、キリィは？どこか行ったの？」
「ああ、キリアならついさっき─」
─『野菜が心配だから見に行く』と言って、そこの裏口から出て行ったよ。
言って、またカップを傾けた。ふわりと、甘い様な苦い様な不思議な香りが広がる。
「そ、そういうのはボクにも言ってからって、今度キリィに教えといてよ馬鹿王子！！」
椅子を倒さんばかりの勢いで飛び降りて、言いながら急いで裏口へ走る。
「馬鹿とは心外だな」なんて声が聞こえた気がするけど、気にしない気にしない！
裏口の戸を開けると、丁度帰ってきたのか泥だらけのネスと鉢合わせた。こんな天気でも外遊びかあ…
ネスは食堂の中を見渡して、ポポとこどもリンク─長いから皆コリンと呼ぶけど─の姿を見つけると、泥だらけのまま試合の誘いを掛けに行く。
…あ、リンクに怒られてる。泥掃除って大変らしいからね。
─少しだけ、いつもより賑やかな食堂を出たボクは、早足でキリィの元へ向かった。
(降り注ぐのは、望んだ日常。)
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チイチ(プロフ) - Mirai atさん» コメント有難うございます(^^) 展開は幾つか考えた中から選んだ物なので、意外に思って頂けたなら幸いです！それが狙いでもありましたので…(笑) これからも頑張らせて頂きますね！ (2019年11月11日 2時) (
レス) id: a34c130848 (このIDを非表示/違反報告)
suwaro - チイチさん» 返信くれた！？めっちゃ私も嬉しい！ありがとうございます！ (2019年11月10日 20時) (レス) id: 1a4b63d778 (このIDを非表示/違反報告)
Mirai at(プロフ) - 意外な展開ですねー。頑張ってください! (2019年11月10日 9時) (レス) id: 86ab96dee6 (このIDを非表示/違反報告)
チイチ(プロフ) - suwaroさん» ！！！まさかコメントを頂けるとは…有難うございます…！嬉し過ぎます…！これからも頑張らせて頂きますので、どうぞ宜しくお願いします〜！ (2019年11月8日 21時) (レス) id: a34c130848 (このIDを非表示/違反報告)
suwaro - 続きが楽しみです! 頑張ってください! (2019年11月8日 21時) (レス) id: 1a4b63d778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チイチ | 作成日時：2019年6月18日 23時
