WATCH／時の勇者の傍観 ページ21
─それは仲間達が増え、暫くしてからの事だった。
変わりない朝食─ルイージが来てからというもの、料理面が楽になっていた─を終え、珍しく試合の気分でも無かった時の勇者は、1人食堂のテーブルに頬杖をついていた。
何処か気怠げな青い視線の先には、同じく1人で広いテーブルの一角にちょこんと座る少年─キリアの姿。せがまれ、トレーニングをつけ始めたのはもう1年も前になる少年の肌は、出会った当初よりもだいぶ健康的な血色をしていた。ふっくらとした年相応の手足は座ると床につかず、ぶらぶらと宙を泳ぐのが微笑ましい。
…と、そこへ訪れる影─マルスだった。
「キリア、今空いてるかい？」
「あ、マルスさん！えっとその、今はカービィを…」
マルスの姿を捉えた途端、彼の瞳は陽光が射したかの如く煌めく。ゆるりと垂れる目尻は、案外人見知り気質な少年の、その人に対する信頼の深いことが見て取れた。
分かりやすい奴だ、とリンクは思う。思えば、初めて出会った時─酷く怯えた様子だったあの時も、カービィの一声で纏う空気が一変したものだった。人の心の機微に鋭い自分でなくとも、彼の心は実に分かりやすかった。
しかし…何でまた、マルスの奴はあんなにもキリアに対して、異常な程の執着心─の様なものを持っているのか…彼がキリアの傍にいられない間の心の荒れ様を感じ取れているリンクはしかし、その理由を知ることは無い。
まあ、アイツを気にかけてくれているならそれでいいと、リンクは自己完結した。何だかんだ、1年の付き合いだ。自分の後を、必死になりながら着いてこようと頑張る子どもを嫌いになど、なる訳がなかった。
「お待たせキリィ─って、あれ。何でマルスがいるのさ。」
ぽよ、と独特の足音が静けさを破る。桃色の影─カービィだ。笑顔で駆け寄ってきた彼は、しかしマルスの姿を視界に捉え、訝しげな顔になる。
「ああ、カービィ君。少しキリアを借りたいんだけど、構わないかな。」
「え、ダメだよ。キリィは今からボクと野菜の様子見に行くんだから─」
「そうか、有難う！キリア、行こうか。」
「─って聞け！」
…あれは、止めた方がいいのか？間に挟まれているキリアは正直可哀想ではあるものの─少し悩んだ末、リンクは傍観を選んだ。まあいい、危なくなったら止めよう。
ここ最近で見慣れてしまった、彼を巡る蒼と桃色の言い合いを眺めながら─「今日も異常無し」と、リンクは心のメモにこっそり残した。
(とある日の1ページ。)
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チイチ(プロフ) - Mirai atさん» コメント有難うございます(^^) 展開は幾つか考えた中から選んだ物なので、意外に思って頂けたなら幸いです！それが狙いでもありましたので…(笑) これからも頑張らせて頂きますね！ (2019年11月11日 2時) (
レス) id: a34c130848 (このIDを非表示/違反報告)
suwaro - チイチさん» 返信くれた！？めっちゃ私も嬉しい！ありがとうございます！ (2019年11月10日 20時) (レス) id: 1a4b63d778 (このIDを非表示/違反報告)
Mirai at(プロフ) - 意外な展開ですねー。頑張ってください! (2019年11月10日 9時) (レス) id: 86ab96dee6 (このIDを非表示/違反報告)
チイチ(プロフ) - suwaroさん» ！！！まさかコメントを頂けるとは…有難うございます…！嬉し過ぎます…！これからも頑張らせて頂きますので、どうぞ宜しくお願いします〜！ (2019年11月8日 21時) (レス) id: a34c130848 (このIDを非表示/違反報告)
suwaro - 続きが楽しみです! 頑張ってください! (2019年11月8日 21時) (レス) id: 1a4b63d778 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チイチ | 作成日時：2019年6月18日 23時
