《スマブラSP》やぁやぁ、はじめまして？《男主》 (ページ11)

今日:9 hit、昨日:1 hit、合計:9,738 hit

おわりの、まえ。ページ11

＊

僕はもう、疲れました。
心底から、本当に、疲れてしまいました。

戦って、戦い続けて。皆にとってはきっと、悪を糾す行為だから、何とも思わないのでしょう。
けれど、僕は違います。だって僕は、キーラ(あの人)の子供なのです。同じ血が、僕の身体には流れています。

─僕は、あの人の力を分け与えられたコピーを斬って、刺し貫く度に。あの人自身に刃を突き立てている感覚がするのです。
だって、あの人の力が形になったものだから。斬る度、僕の心は少しずつですが、軋んでいくのです。

僕は、こんな事をしたかったんじゃない。
僕はただ、あの頃の幸せなセカイが、もう一度欲しかった。それだけでした。

そして、今日。また、コピーを斬り捨てました。
その時に。コピーのコアを寸分違わず刺し貫き、切り飛ばした時に。僕は、僕の心のどこかが、ぐしゃりと潰れてしまう音を確かに聞いたのです。
いよいよかと思いました。正直、もう限界だったのです。

大好きで仕方がない父さんと同じ感触のモノを、斬り捨てていくのも。

裏切ってあちら側についたとして。きっと酷く悲しむであろう、親友の彼と、あの人の事を考えるのも。
僕は今の僕のままでは、何れ何処かで破綻してしまうことを、何となく分かっていました。

キリィは馬鹿だよ、と優しく彼が諭してくれた声が、思い出されます。
そうです。僕は、結局大馬鹿者でした。誰にも、何も言わないで。隠し通して、破綻して。

キリアは優し過ぎる、とあの人に窘められた事も、今では酷く納得します。確かに、僕は甘過ぎたのです。自分にも、現実にも。

…本当に、疲れました。僕は今、酷く誰かに甘えたいのです。
何も考えなくていい、そんな環境で、静かに僕という存在を終えたいのです。

そうして、僕は一つ思い付きました。
結局、彼らを悲しませてしまう。でも、馬鹿で甘えたな僕には、これくらいしか思いつかないのです。
父さんの力は、暴走しています。
あのエネルギーに充てられたモノは何であれ、あの人の配下になります。あの人の、意のままになります。

だから。僕は明日、僕という存在を、捨てます。
あの人の操る、人形の一つになります。

それでいい。もう、いいです。僕はもう何も、考えたくない。

─それでは、また明日。
今までの僕にお休みを。新しい僕におはようの挨拶をもって、僕の幕引きとします。

…でも、叶うなら。

父さんに、もう一度だけ。名前を、呼んで欲しかったです。