《スマブラSP》やぁやぁ、はじめまして！《亜空の使者編Ⅱ》 (ページ2)

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　ⅩⅠ．勝利者という名の逃亡者ページ2

「くっ！」

　ざり、と靴底が地面を摺った。鋭く睨む視線の先で空中からソレに飛びかかるのは、ディディーコング。そのトリッキーな動きはしかし、それを圧倒するパワーで押し潰された。大きく吹き飛んだ彼を気にする間もなく、それは再び自分へと向かってきた。

「ッファイア！」

　咄嗟の判断で、全身に炎を纏い迎撃する。巨体を直撃し、押し返したが…流石は重量級と言ったところか、大したダメージにはならなかったようでその影─クッパは再び立ち上がると、大きく咆哮した。

「…そう簡単には、勝たせないってことか。」
「でも、絶対にここで倒す！」
「そうだな─」

　木陰を縫って自分の隣へ降り立ったディディーに相槌を打ちながらも、フォックスは相対したクッパに対し、どこか違和感を抱えていた。違和感と呼ぶには大袈裟なようで、気の所為と断じるには大きな、そんな感覚を。

「いっ、けえっ！」

　放たれた2発の弾丸が直撃する。僅かに怯んだその隙に、ディディーがフォックスの名を叫んだ。

「ッとりゃあぁっ！」

　今考えても仕方ない─そう判断したフォックスが放った蹴りは、無防備な腹を捉え…高く打ち上げられたその姿が次に目の前に現れた時には、フィギュアと化していた。

「や、やった…の？」
「…そう、みたいだな。」

　確かに、クッパはフィギュアになった。もう脅威は去ったはずだ─なら心に残るこのモヤは、一体？

「─って、えッ！？」
「何だ、どうしっ…！？」

　思考の海に沈んでいたフォックスが、ディディーのその声に意識を戻す。そうして見たものは、黒紫の粒状に解けていくクッパのフィギュア。
　思わぬ光景に言葉を失うが─不意に毛が逆立つ感覚に、その場を飛び退いた。同じように感じたらしいディディーもまた、反対側へ飛んでいた。

「ガハハッ！中々やるではないか！」
「え─？」

　なんで、と声にならない呟きを零すディディーの目は揺れていた。2人の前に立つその姿は、紛れもなくクッパ本人だった。

　フォックスの視線が、クッパの手に構えられた見覚えの無い砲に向く。そして、今しがた自分達の避けた黒い光の様なものと、それに感じた嫌な感覚を思い返し─次の瞬間には、ディディーの首根っこを掴んで崖へ駆け出していた。

「えっ！？な、なんで─」
「…嫌な予感がする。ここは一度、態勢を立て直すべきだ！」
「そんな、」

　やっと追いついたのに─悔しげに呟くディディーと駆けるフォックスの背後から、笑い声が響いていた。