�� ページ28
─2日目。
私の日常に、新しい日課が出来た。
…尤も、私の意思で日課にした訳じゃないけれど。─マスターが、私という��作品��を観察する為の時間。就寝前の1時間が、それに充てられる。
唯ひたすら、好き勝手に腕を持ち上げたり瞳を見たり…何がそんなに楽しいのか、笑みを浮かべたまま、それを繰り返す。
そこに─そう、例えば情欲なんてものが少しでも垣間見えれば、まだ救いがあったとも思う。そういう目的かと、そう納得する事が出来たのかもしれない。
…けれど。アレは、あのヒトのようなものは違う。観察の間、片時たりとも離れない視線からは…微かな肉欲の気配さえも感じない。ひしひしと伝わってくるのは…まるで、欲しかった玩具が漸く手に入った子供のような、あまりにも純粋な『喜び』の感情だけだ。
それは、大人のヒト形をしたマスターには、あまりにもアンバランスだった。そしてそのちぐはぐさが、ぞわりと背骨を冷たくなぞるようだった。
─『A、気分が悪いのか？ひどい顔色だ。』
そう、朝に青い衣の彼─リンクさんからも言われてしまった。
私は、私が思っている以上に、たった一日で参ってしまっているみたいだった。なんて情けないのだろう。これで、皆を守るなんて出来るのだろうか。
「寝不足です」と伝えれば、彼はそれ以上追求してこなかった。…けれど、彼の瞳は雄弁で。真っ直ぐに射抜く青い瞳を、私は見返すことが出来なかった。
─ああ、また今日も『観察』の時間がやってくる。
たとえ何をされようとも、あの時間だけは、私はあのヒトに逆らってはいけない。…例えそれが肉を抉られ、内蔵を引き摺り出される事であっても。
嫌な想像に、ハッとして首に添えていた手を下ろす。
『味見だ』と言われ、噛み付かれた首筋─未だ薄く歯型の残るそこを、無意識に撫でていたようだった。
「…だい、じょうぶ。まだ、平気だよ。」
震える声も身体も、知らないフリをした。
＊
─3日め。
リンクさんが、きえた。
なんで、どうして。もうこれ以上はしないって、そう言ったのに。
衝動のまま泣き叫ぶ。彼のヒトはその凪いだ表情を少しも崩すこと無く、手元に浮かべた見覚えのある1枚の手紙を、ぐしゃりと握り潰した。
「─ああ。昨日、アレとお前が言葉を交わしている所が目に入ってな。つい、魔が差した。」
薄く笑みさえ浮かべるそのヒトに─気分で人一人を消してしまえるその事実に、心の底から震え上がった。
(ああ、どうしよう)
(こわい)
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チイチ(プロフ) - 降魔さん» 降魔さん、こんにちは(^^)コメント有難うございます！悲鳴が出るほど喜んで頂けたのなら、書き手としてもこれ以上ないくらい嬉しいです…！前にブラックピットを楽しみにしているというコメントを頂いてから、私自身書くのが楽しみでした！これからも頑張ります…！ (2019年12月17日 1時) (
レス) id: cd3ca817f7 (このIDを非表示/違反報告)
降魔(プロフ) - ひぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!! ブラックピットやぁぁぁぁぁぁぁ!!!! チイチさんて天才っスよね……!!! これからも頑張ってください！ (2019年12月16日 18時) (レス) id: 6d6843d9f1 (このIDを非表示/違反報告)
チイチ(プロフ) - 水城さん» こんにちは！コメント有難うございます…！コメントの全てが私には余りにも勿体ないものばかりで恐縮です…！ちょっと嬉し過ぎて文脈がおかしいかもしれないですすみません…！これからも意欲の続く限り執筆していきます…！本当に有難うございます！ (2019年12月15日 15時) (レス) id: cd3ca817f7 (このIDを非表示/違反報告)
水城(プロフ) - いつもチイチ様の作品を拝見して、文章の構成や内容の素晴らしさなどに圧倒されている者です。チイチ様の描く人物たちが本当に好きで、この度マルス様の話が追加され耐えきれずコメントしてしまいました……これからもお身体を大切に、作品をつくって下さると嬉しいです (2019年12月15日 8時) (レス) id: 29a05cdac9 (このIDを非表示/違反報告)
チイチ(プロフ) - あるふぁさん» こんにちは！コメント有難うございます(^^) 楽しみと言って頂けて本当にとてもとても嬉しいです…！それだけに長らくの間更新停滞してしまった事が申し訳なく…年末にかけてどんどん更新していくので、宜しければこれからも見てやってください…！ (2019年12月11日 0時) (レス) id: cd3ca817f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チイチ | 作成日時：2019年8月14日 2時
