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「せんせ、ここ分かんない」
「これはこの公式を使うって言っただろ?」
「なんでこの公式なの?」
「あぁ、それは……」
先生に勉強を教えて貰っていると、小さく扉を叩く音が聞こえた。扉の前に立っていたのは知らない男子生徒。
「どうかした?」
「あ、えっと……小鳥遊さんに、用があって」
「私?」
ちらちらとこちらを見る男子生徒。……というか、何でここに居るって分かったんだろう。
「小鳥遊さん、少し、良いかな」
「別に良いけど……せんせ、少し行ってくるね」
「荷物は?」
「また取りに戻ってくる。さっきのとこまだ分かんないから」
「分かった」
誰かが居る時はあくまでも普通の教師と生徒を演じる。必要以上の接触はなし。……もう少し先生と一緒に居たかったのに。名前も知らない男子生徒に着いていく。連れてこられたのは、あまり人が出入りしない資料室だった。ここ、暗いから苦手なんだよなぁ。
「ごめんね、急に……」
「それは別に構わないけど……。用事ってなに?」
こて、と首を横に傾げる。私もそこまで鈍くない。彼が何を話そうとしているのか、容易に想像がついた。
「た、小鳥遊さんってさ、彼氏居るの?」
「ううん、居ないよ」
頭を振った瞬間にぱあっと顔を明るくする彼。……やっぱり。
「俺、小鳥遊さんのことが好きです!その、俺と、付き合ってくれませんか!!」
ばっと頭を下げる彼。……申し訳ないけど。
「ごめんね、私君のことあんまり知らないし……。でも、気持ちは嬉しいなぁ。ありがとう」
そう言った瞬間に悲しそうな顔をする彼。……慣れないなぁ、人の好意を断つのって。
「……どうしたら、俺のこと見てくれる?」
「え?」
「何をしたら、小鳥遊さんは俺のことを好きになってくれるの!?」
「痛ッ……」
がっと肩を掴まれる。途端に恐怖が私を襲ってきた。嫌だ、この人怖い……!
「離して、お願いっ」
「離したら好きになってくれるの!?」
「そんな訳ないでしょ馬鹿!」
必死にもがくけど、男女の力の差は歴然だった。簡単に抑え込まれて、息の荒い彼が近づいてくる。嫌だ、待って、誰か、
「せんせ……っ」
「嫌がる女の子に無理やり迫るのは、流石の先生でも見過ごせないなぁ」
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理音(プロフ) - ドキドキが止まりません!!更新楽しみにしています!! (2022年8月23日 12時) (レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ - 柊先生かっこよすぎて超キュンキュンしてます!更新待ってます! (2020年1月19日 22時) (レス) id: e6667f44b0 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - 柊先生が格好いい…笑 夢主が拉致られて、それを先生が助ける…みたいなのはどうでしょうか? (2020年1月18日 0時) (レス) id: 874e279780 (このIDを非表示/違反報告)
夏もち(プロフ) - 夢主が寝ぼけてて先生に甘える(結構甘めで)お願いします! (2019年3月15日 1時) (レス) id: 9d8705ef53 (このIDを非表示/違反報告)
カイシウ(プロフ) - クラスの男子にモテモテで取り合いされているのを見たいです! (2019年3月13日 1時) (レス) id: 1d94155278 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埜山 | 作成日時:2019年1月17日 23時