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家出した。 ページ2







「くだらぬ舞を見せるな」

「お許しを、お許しを!!」





…。

目の前で男が女に暴力をふるっている現場を、第三者視点から私は見ている。
どうしたものか。

鈍い音が響く。

男が女を殴る。

女は身体をかがめて、小さくうずくまり、必死に耐えており、男は血眼で何度も何度も女を殴り続ける。その目に生気が感じられない。

男の狂人っぷりに私も周りの人々同様動けずにいたところ、燃えるような髪色をした人がその場に近づき






「やめるんだ」






男の腕をつかんで言った。







…鬼狩りの人だ。

刀と服ですぐに分かった。








「邪魔をするな、鬼狩り」






女を殴り続けていた男は、つかまれていた腕を振り払い、がががと不穏な音とともに、正体を現した。

青白い肌に、お目目が3つ、歯はギザギザしており、頭には角。

まぎれもない化け物、

あれが、鬼。







多くの人々が鬼を見てその場を逃げ出す。
しかし私は、時が止まったように動けなかった。

瞬きさえできなかった。







「炎の型…」






鬼狩りの人がいう。
しかし鬼は、素早く殴られて弱り切った女を人質にして物陰に身をひそめる。

それと同時に、ばっと鬼狩りの人が私の方を振り向き、目が合った。
私はずっと動けず、その場にいた。






「そこの少女、逃げるんだ!」






あまりにも大きな声に驚き、身体の硬直がとける。
おそらく私にかけられた声であるため、「はい」と返事をしてその場を去ろうと鬼狩りさんに背を向けたが、駄目であった。







「あれ…ここ、どこ」






私の前にどこまでも続く道がある。
先ほどいた場所ではない、ここは室内だ。

まっすぐ進んだところには一つ扉がある。


「来い」


鬼が呼ぶ声がした。






「すまない、君を巻き込んでしまった」

「あ、」

「だが、必ずここから救い出して見せるから安心しろ!」

「頼もしいです」






どうやらこの場には、鬼狩りの人と私だけが連れてこられたらしい。







「俺は、煉獄杏寿郎だ」

「雨川Aです」

「そうか。
雨川少女、混乱させてしまうかもしれないが、あれは鬼だ」

「はい」

「鬼は首をきらなきゃ死なない。
また、あの鬼は血気術という厄介な技を出す」

「なるほど」

「あの鬼の詳細が詳しくわからない以上、雨川少女にはなるべく俺のそばにいてほしい」







この人…、つよいんだろうな。




「それにしても、すごい荷物だな」

「家出中なので」

「む」



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作者名:sora | 作成日時:2021年5月5日 0時

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