4. ページ5
学校から家までそう遠くはないため、歩いて20分ほどで自分の家が見える。
両親は今頃仕事だ。一人っ子の私は寂しく家でぐうたらって訳。
玄関の鍵を開けて靴を脱ぎ、リビングのソファーにぐて、と寝そべる。
少しだけ寝ようと思って目を瞑ってから瞼に浮かぶのは当然ながら猫くんだ。
前まで話したこともなかったのにじっと見てくる猫くんと、初めて話した日に連絡先を交換するとは。
色々あったなぁーなんて考えていれば、ピコンとスマホが鳴る。
“A”
“もう家ついた?”
だれかと思えば猫くんじゃないか。
しかも呼び捨てて。距離感バグっとんか?君学校じゃ敬語キャラだったろ。
私は心内じゃ君の名前を呼んでもないのに。
“ついたー”
“しょっぴくんは部活?”
分かりきったことをわざわざ送る。
生まれてこの方異性とまともに話したのが少ないので、こんなことでしか会話を繋ぐことができない。
“うん、コネシマさんもやで”
“この後生徒会やからしばらく帰れへん”
しゅん、という猫のスタンプが送られてくる。ウワァ猫くん。
なぜコネシマくんのことも話したのか甚だ疑問ではあるが、大変そうだなぁという感想しか出てこなかった。
わるかったな興味なくて。
がんばれ!という簡素なうさぎスタンプを送る。ご飯食べよ。
キッチンで適当にチャーハンだけ作り、さっさと食べる。
大した課題も出てないし、暇。
予習する気にもなれなかったので、部屋着に着替えてからテレビでアニメを観ることにした。
「ただいまー」
「あ、おかえりー」
気づけば母が帰ってくるような時間帯だった。テレビを消してスマホを手に取れば、10件ほど猫くんからL○NEが入っていた。
どした???
“Aーー!”
“どうせ俺ので送ってもダメやろからショッピくんので送るわ!”
“今日家に親両方おるからAの家行ってもええか?”
“つか行くわ!”
“おばさんによろしく言っとってな!”
“Aの好きなケーキかなんか買って行くから許してくれや”
“ほんま急ですまんけどよろしくなー”
“んじゃな!”
コネシマくんかよ。文面がうるさすぎて草。
マジで唐突だが、コネシマくんの家庭環境を我が家は理解しているため何も言えない。
唐突なお泊まり会。
「母さん、今日コネシマくん泊まりにくるって」
「あらやだほんと!?料理は気合い入れないと…」
「イケメンに張り切ってんじゃないよおばさん。」
529人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
MAI(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!続きも頑張ってください! (1月15日 20時) (レス) @page11 id: 9c768ff3d4 (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - めちゃくちゃセンスあってすきです、続き待ってます (1月4日 22時) (レス) id: b8a744f8ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まむ。 | 作成日時:2024年1月3日 21時