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「じゃ、俺と付き合う?」
にへら、と笑って瓶底メガネの奥で目を細めたチーノ。
「もっとない」
「はは、知っとるわ」
「からかうなら卵焼き返せよ」
「やだ」
……やっぱまだちょっと警戒はしてんのかな?
どうでもいいけど。
「Aって彼氏とかおるん?」
「ん?あー……去年はいたよ」
「え、誰!?!??!?」
そんな驚く?というくらいに目を見開いたチーノ。失礼な奴だな。
「言ってもわかんないよ」
「いや分からんやん!この学校?」
「…去年、いたでしょ。交通事故で亡くなった男子」
「……え」
今ぐらいの暑い季節、初夏に。
テニス部が夜遅くまで練習してた帰りに、ヘトヘトな中脇見運転のトラックに撥ねられた。
付き合ってることを公表するのは中々に恥ずかしいものだったから、2人で「ひみつだね」なんて言って誰にも言わなかった。
言うなれば、秘密のお付き合いだったわけ。
だから家族の人も当然私を知らないし、私も彼の親族を知らない。
…最後に交わした言葉は、「また明日」
「…まじ?」
「マジだよ。…はっきり別れの言葉を告げてないまま逝っちゃったし、今もまだ付き合ってるって言えば付き合ってんじゃない?」
内緒の仲だったから、恋人らしいことはあまりできなかった。それでも彼のことはよく知っていた。
私がこうやって引き摺るのは望んでないこと、私はさっさと新しい恋を見つけた方が彼も幸せでいてくれること。
…でも、でもさ。
「無理じゃん???人生で一番好きだった男だよ???まぁ人生で初めて好きになった男だけど」
「急に惚気んな」
お弁当最後のおかずのミートボールを口に放り込んで弁当箱を閉じた。
その中に私の暗い暗い闇を閉じ込めるようにして。
教室に帰ると、腕を組んだ猫くんが、むすっとした顔をして私の席を陣取っていた。
隣の席なのに私の席にわざわざ座る意味もわからないまま、首を傾げる。
「チーノと食ったやろ」
「なんで知ってるの??」
「…俺も食いたかった」
あらかわいい。
まるで子供のようだな、なんて小さく笑うと、小っ恥ずかしそうに目を逸らされた。ところで気づく。
何馴れ合ってんだ……
春の私、怯えてた私へ
なんだかんだ猫くんとは仲良くなれてます
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頭空っぽで書いてるんでおかしいとこあったら教えてください
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MAI(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!続きも頑張ってください! (1月15日 20時) (レス) @page11 id: 9c768ff3d4 (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - めちゃくちゃセンスあってすきです、続き待ってます (1月4日 22時) (レス) id: b8a744f8ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まむ。 | 作成日時:2024年1月3日 21時