幻想戦歌6

act17-10 ページ38

〜伊野尾side〜




夢を見た







遠い昔の記憶









・









女性「慧、これからは一人で生きていくのです」



使用人の女性にそう言われた、幼い日の僕




伊野尾「どうして！？お父さんとお母さんは！？」

女性「・・・お二人はもう、貴方と一緒にいたくないそうです」


先日まで当たり前のように一緒に笑いあって、遊んでいた両親


悪い冗談だと思った



だけど住んでいた家を出され、決して入れてもらえなかった



受け入れるしかなかった、残酷な事実





それから僕は施設に引き取られ、仲のいい友達も出来た



だけど小さかった僕には自分の持つ不思議な力を制御できなかった



僕の能力を知った途端、施設の大人や友達は僕を疎ましく見るようになった


挙句、いつも一緒に遊んでいた皆から、『化け物』と呼ばれ、暴力を振るわれた




僕は施設を飛び出した


それからは、捨てられた食材を拾ったり、木の実をとったりして飢えをしのいだ




僕に優しくしてくれる人もいた、心を許せると思った人も





だけど皆、能力のことを知ると、僕を化け物扱いした





好きになっても・・・心を許しても・・・傷つくだけだ・・・









公園の隅で、膝を抱えて座り込む








男性「どうした？こんなところで？」

伊野尾「・・・・・」

男性「すまない、いきなり話しかけて、哀しい目をしていたものでな、心配になったんだよ」




近づくな

話しかけるな


僕はその男性を睨みつけた




だけどその人は僕から離れず、僕の頭を優しく撫でた



伊野尾「・・・・・！」





幼いころに感じた、お父さんに似た温もり





男性「一緒に来てくれ、ここより少しマシって程度だが・・・おっちゃんが暮らしているところがあるんだ」



僕は警戒心を解き、その人の後を追った

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