act20-16 ページ8
〜小山side〜
小山「Aッ!!!」
黒姫の姿が闇に包まれて消えた直後、Aは地面に倒れた
咄嗟に彼女に駆け寄り、抱え上げる
Aは退魔の力を使い、俺とシゲを助けてくれた
永い年月を経て強大になった黒姫の力は、俺達の動きをいとも容易く封じてしまうほどだった
それを破ったAの負担は、相当のものだっただろう
しかも最近のAは、退魔の力を使うと体力を大きく消耗する
それでも・・・俺達を助けるために・・・
気絶したAを抱きしめる腕に、力が入る
・・・何も・・・出来なかった・・・
黒姫の力に、手も足も出なかった
Aが倒れる程の退魔の力で対抗して、ようやく互角の力だなんて・・・
俺の力なんて・・・足元にも及ばない・・・
・・・情けない・・・
Aを守るって・・・決めたのに・・・!
・・・悔しい・・・!
加藤「小山、Aさんは・・・?」
シゲの言葉にハッとし、顔を上げる
小山「気絶してるだけ・・・だと思う」
加藤「思うって・・・、大丈夫なんだよな?」
小山「・・・うん」
曖昧な返事しか出来なかったのは、Aがとても憔悴していることが分かったから
呼吸も弱く、目を覚ます様子が全くない
小山「・・・大丈夫・・・」
最早、それは自分に言い聞かせるための言葉だった
木々や庵の炎はまだ消えていない
だけど熱さは感じなかった
先程まで炎のすぐそばにいたから、熱に慣れてしまったのかも
とはいえここに長居する訳にはいかない
小山「・・・シゲ、手越とまっすーのところに向かって、俺はAを安全な場所に連れていく」
加藤「・・・・・」
小山「シゲ?」
返事がなかったことを疑問に思ったが、再度名前を呼ぶとシゲは「分かった」と返した
小山「Aをここから離れた場所に連れていったら、俺もすぐに向かう」
加藤「・・・俺達のことはいいから、お前はAさんと一緒にいてやれよ」
確かに、今の状態のAを一人置いていくのは心配だ
小山「了解、気をつけてね」
加藤「・・・ああ」
シゲが走り去ったのを確認すると、俺はAを抱えて飛翔し、反対方向へ向かって移動した
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作者名:天照 | 作成日時:2019年10月12日 18時