act20-11 ページ2
しばらく走り続け、お父様と別れた場所からも、家からも遠ざかった
ふと、不思議な感覚が全身を駆け巡る
この近くに何かがあると、私の直感が伝えていた
進んだ先にあったのは、白く輝く大きな光だった
恐れくこれが、お父様が作り出した未来への道の入り口
さっきの感覚は、きっと私の中の退魔の力が、同じような不思議な力を察知したのだろう
何気なく、私は意識を集中させてみる
すると、こちらに近づく邪悪な力を察知した
辺りを見回すと、先程会った鳥と龍が合わさった妖魔がこちらに近づいてきていた
私は急いで、光へ向かう
逃げなくちゃ・・・!
何としても・・・未来へ行くんだ!
妖魔のスピードは速く、徐々に私との距離を詰めていく
もう少しで、光に到達する
だけど妖魔は私のすぐ後ろまで迫っていた
もう少し・・・!後・・・ちょっと・・・!
持てる力を出し切り、必死に走る
妖魔は口元にエネルギーを蓄え、光線として放ってきた
何とか光の中に飛び込んだが、妖魔の攻撃は尚も私に迫ってくる
そんな・・・、ここまで来て・・・
諦めかけた、その時だった―――――――
光線が光に入り込む寸前、何かが割って入り、光線に激突した
一瞬見えたそれは、綺麗な紅い羽の蝶
「―――――!!」
光線が命中する瞬間、蝶は眩いばかりの真紅の光を放った
紅い光は妖魔の放った光線と共に、消えていく
残光の様に散らばる、小さな紅い光
「・・・けーちゃん・・・」
光は徐々に薄れていき、どんどん消えてしまう
最後に残った紅い光に、手を伸ばす
「けーちゃん・・・!」
指先が触れる直前で、遂に最後の光も消えてしまった
私を守ってくれた真紅の蝶は、美しくも儚く、白い光の中に散っていった
残酷にもその光景は、目指し続けた雲の中に、溶け込んでいくように見えた
「けーちゃああぁぁぁあああん!!!!!」
もう誰にも届かない声、届かなかった手
やがて光に包まれ、私は意識を手放した
次に目を開けて最初に視界に入ってきたのは、ひらひらと舞う桜の花びらだった―――――
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作者名:天照 | 作成日時:2019年10月12日 18時