act17-6 ページ38
それは、私が小さかった頃のこと
妖魔や退魔の力といったことを知らず、無邪気に外を駆け回る
空を見上げ、流れる雲を追うこともあった
届くことなんてないのに、頑張って手を伸ばす
そんな毎日を送っていた、ある日
私はお気に入りの白い服を着て、いつものように雲を追って走っていた
「・・・あれ？」
視界の先に紅い何かが見え、足を止める
白い雲の中にポツリと浮かぶそれは、まるで雲に向かって飛んでいるようだった
必死に、体をバタつかせて・・・
「頑張れ！」
いつしか、それを応援していた
だけど急に力が抜けたように、ひらひらとこちらに落ちてくる
「あっ・・・！」
私は咄嗟に駆け寄り、両手で受け止めた
それは、綺麗な紅い羽を持つ蝶だった
「綺麗・・・」
思ったことをすぐ口にする
空に飛ぼうとして疲れてしまったのか、蝶の羽ばたきは弱い
「大丈夫？」
返事が返ってこないことは分かっていた
けれど蝶は弱く羽を動かすことで、私の言葉に応えているようだ
何だか、凄く辛そう・・・
私は両手に蝶を乗せたまま、家に戻った
自分の部屋の机に、そっと蝶を下ろす
「ゆっくり休んでね、明日はきっと雲に届くよ！」
私は蝶にガッツポーズを見せた
とはいえ蝶に私の言葉が届いているかも、私の姿が見えているかも分からない
けれど私には、蝶がこちらをじっと見ているように感じた
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天照(プロフ) - ゆうみさん» ありがとうございます！長く続いているシリーズですが、応援して下さり光栄です。次第に謎が明らかになっていき、あれ、そう言えばここが伏線だったんだ、と思い返していただけると嬉しいです。楽しみにして下さり感謝感激です。 (2019年9月1日 19時) (
レス) id: 2734c54e1d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうみ(プロフ) - 移行ありがとうございます！いつも楽しみにしております♪お話も進みますます展開が楽しみです！まだ謎の部分とか、何でだろ？とか色々考えながら読み進めてるのでこれからもお話楽しみにしてますので頑張ってください！！ (2019年9月1日 8時) (レス) id: bea5fb83fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天照 | 作成日時：2019年9月1日 6時
