act8-5 ページ23
〜加藤side〜
――――― 願はくは 花の下にて 春死なむ
その如月の 望月のころ ―――――
記憶の奥底に残る、誰かの言葉
いつ、どこで聞いたんだ？
誰の言葉なんだ？
俺が小さい頃の記憶か？
・・・それとも、前世・・・？
頭を働かせていた俺の頬に、温かい風が当たる
庭から吹いてきた風の様だ
庭に咲く大きな桜の木
その近くの縁側の先が、Aさんの部屋だ
締め切っているということは、今は神楽の練習中だろう
以前、この神社の神楽について聞いたことがある
披露する祭礼の時まで、誰にも舞を見せてはいけないんだとか
だから彼女が神楽を部屋で練習する時は、今みたいに外から見えないようにしている
・・・気にはなるけど、別にこっそり覗いてまで見ようとは思わない
庭に出て、桜の木に歩み寄る
絶えず花びらを散らすその様子は、儚くも美しい
契約の媒体である桜の木の枝を取り出し、見比べる
確かに似ている、同じ種類の桜なんじゃないか？
じっと桜の木を見ていると、どこか懐かしい感じがした
契約の媒体から察するに、前世は桜に関係している可能性が高い
だからか、桜を眺めていると、時々苦しいような、悲しいような思いをすることがある
その時、突然目眩がしたのか、目の前が暗くなった
だが完全に視界が失われた訳でなく、うっすらと、ぼんやりした光景が見える
桜の花びらが散る中、次々と倒れる人々
・・・何だよ、何なんだよ！？これ・・・
何が起こっているか分からず、混乱する
視界がはっきりしないまま、一人、また一人と近づいてきた人達が苦しむようにして倒れていく
恐怖が全身を支配する
固く目を瞑っても、その光景が消えることはない
絶えず、人々が近づいてくる
・・・来るな！
逃げろ！でないと・・・！
最早自分が何を考えているのか、自分でも分かっていなかった
ふらり、と体が前方に傾く感覚がする
刹那、両手に温もりを感じ、思い切り目を開いた
俺の手を優しく包み込む、温かい両手
顔を上げ、その人物を確認する
加藤「・・・Aさん・・・？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NEWS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天照(プロフ) - ミルフィーユさん» ありがとうございます！凄く嬉しいです！あ、憧れですと・・・！？恐縮です。滅茶苦茶嬉しいです。ファンタジー色全開のカオス小説ですが、これからも応援していただけるとありがたいです。 (2019年7月13日 18時) (
レス) id: 33e54690ba (このIDを非表示/違反報告)
ミルフィーユ - こういう作品が作れるの憧れです♪ (2019年7月12日 22時) (レス) id: afdbcff378 (このIDを非表示/違反報告)
みかんタルト(プロフ) - 天照さん» いえいえ！ 良かったです…(笑) お褒めの言葉ありがとうございます(笑) 夢主ちゃんとNEWSの誰かが深い関係なんですね…！？ 本当、気になって仕方がないです(笑) 楽しみます、楽しみます！ こちらこそいつも返信嬉しいです！ありがとうございます(涙) (2019年6月29日 21時) (レス) id: 40273d31c4 (このIDを非表示/違反報告)
天照(プロフ) - みかんタルトさん» 感想ありがとうございます！NEWSは妖魔ですが仲間です。そして彼らの前世と主人公との繋がり、鋭いですね。彼らの中の誰かが主人公と・・・、と、これ以上はネタバレになるので、これからをお楽しみにしていただけると嬉しいです。本当にいつも感想いただき嬉しいです。 (2019年6月29日 20時) (レス) id: 33e54690ba (このIDを非表示/違反報告)
みかんタルト(プロフ) - まだまだ今後の展開に目が離せないです！ 更新大変だと思いますが、引き続き頑張って下さい！ (2019年6月28日 19時) (レス) id: 40273d31c4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：天照 | 作成日時：2019年6月28日 18時
