幻想戦歌10

act24-17 ページ24

アルス「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛！！！」



凄まじい叫び声とともにこちらに接近してくるアルス


かつてないほどの緊迫感を感じる




彼女の振り下ろした腕を、双剣を交差させて止める



が・・・





「！？」




攻撃を受け止めた双剣にひびが入り、アルスが力を入れると同時に粉々に砕けてしまった


彼女の鋭利な爪が左肩を切り裂く


血の溢れる感覚を体で感じる




「ううっ・・・！」


私は咄嗟に後退し、置いてあった刀を拾った



防御はほぼ無意味に近い


攻撃を仕掛けてきたら、回避するしかない






アルスが天井に向けて、両手を翳した


彼女の掌から黒い塊が放たれ、天井を破壊する


その崩壊は壁をも伝い、部屋全体を振動させた


私は思わずしゃがみ込み、頭を庇うようにして振動が収まるのを待った







揺れが収まり頭を上げると、異様な色で描かれていた壁や天井はなくなっていた


新たに現れた壁や天井は真っ暗で、漆黒がどこまでも続いているように思えた


まさに、『漆黒の深淵』という呼び名に相応しい空間


明かりがまだ残っているためか、はたまた目が慣れたか、暗闇の中でも周囲の様子は確認出来る



アルスがこちらに歩み寄ってくる


私は刀を構え、それを待つ




先程と同じように振るわれた腕を、今度は右に跳躍してかわした


アルスから視線を外さないまま、素早く後ろに回り込む



「はああーっ！！」



無防備な背中に、刀を振り下ろす


肩から腰にかけて斬撃の跡が出来、黒い靄のようなものが溢れる



アルス「ウ・・・オオオオ！！A――――ッ！！」



アルスは振り返ると同時に拳を私の腹部にぶつけ、吹き飛ばした



「ぐ・・・がはっ・・・」



今の攻撃で、呼吸が乱れる


咳き込む私に、アルスは近づいてきた



怖い・・・！



抑えていた恐怖や不安が、胸の中に湧き上がる









・









パァン！！









突然の銃声音





アルスの左肩に銃弾を受けたような傷と、そこから溢れる黒い煙が見えた





何が起こったか分からず、私は振り返った









私が置いた銃を拾い、アルスに銃口を向けて構えるタカの姿が、目に映った

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