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cs「あ、観覧車動いた」
適当にボタンを押してレバーを引くと、ぎぎぎと不安な音を鳴らしながら回り始める観覧車。
この期に及んで怖いものなんて無くて、扉の外れかけたそこに乗り込んだ。
きっともう壊れかけで、普段よりもゆっくりとした速度で上へと回っていく。隣で揺れる柔い髪を一房、何となく掬ったりしていると、ふいに彼女が口を開いた。
「そめさんさ、私のこと勝たせるつもりなの？」
「そうだけど、今更じゃない？」
「嫌じゃないの？私が全部忘れて、別の人と、結婚するかも。いいの？」
「じゃあ、いいの？俺がAのこと忘れて違う女の人と結婚しても」
押し黙る彼女の曲がった唇を撫でると、今にも泣き出しそうな顔で手を掴まれた。
頑張って言いくるめようとしてるんだろうなと思うと微笑ましくて、笑ったのがばれないように窓の外へ目を向ける。
固まった意志とかなくて、そういう綺麗な理由じゃなくて。ただ恋人を殺めてまで生きていきたいほどの目的が見つからないだけ。彼女がそれで別の男と恋に落ちるなら、たとえふたりで変わらず生きていたとしてもその時は来るんだろうし。
「まぁ、寂しいなとは思うよ」
「なら、」
「でも、Aなら思い出してくれるでしょ？」
「……おもい、だせても、そめさん居なきゃ意味ないよ」
「あるよ、俺が喜ぶ。それで充分」
1番上から見る景色は、ただ赤い。ぱっとしないわけでもなく、綺麗なわけでもなく、空も地面も、ただひたすらに赤かった。
彼女の頭をくしゃりと撫でる。残り半分は、思い出すものを増やすことに使って。
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すいみん。(プロフ) - こんな夜に死ぬ程泣いてしまいました。起きる頃には目が腫れていそうです。背景描写や細やかな心情描写が繊細で儚いのに粘っこく心に残る小説でした。解像度も高く本当に言ってそうorやってそうな行動ばかりで脱帽です。無理なさらず更新頑張ってください！！ (1月13日 23時) (
レス) @page20 id: f12e90341c (このIDを非表示/違反報告)
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