第五十七話「原因」 ページ8
「そうですか。分かりました。」
教室に向かう際、エーミールと出会ったので一限目は休むことを伝えた。理由は深く説明していないが、何故休むのか分かっていたのか、すぐに了承してもらえた。
『みんな、あんなになるなんて大丈夫かしら…。』
きっとあの女が原因なんだろうが、この短期間に何をしたのか気になる。ならば、話してもらおうでは無いか。
生徒会室のある方向を憂いがある瞳で見つめて、呟くように言えば
「…貴女になら、話してもいいかもしれませんね。」
エーミールは一年の頃から真剣に授業を受けるシャーロットを少しだけ贔屓しているから話してくれるだろう。
『やはり、何かあったのですか？』
「ここではまずいので別の場所に向かいましょう。」
エーミールの後を付いていく。ヒロインの声は知らない。自分がヒロインだから、そんなものは存在しないのだ。けれどもし聞くことがあるのであれば、今朝生徒会室に訪れた生徒の声なんだろうなと思った。
「ダージリンです。大丈夫ですか？」
案内されたのはエーミール専用の教室だった。ノートの提出や授業準備などで来たことがあるからなんとなくそうだろうな、とは思ったけど。
『大丈夫ですよ。…ところで、お話というのは？』
紅茶を飲みながら尋ねる。紅茶を飲みかけたエーミールの手が止まり、そのままテーブルの上に戻す。沈黙の後、エーミールが口を開いた。
「…貴女が風邪で休んだ日からでしょうか。彼らは、ある生徒にずっと言い寄られていました。休み時間から放課後、時には授業中にまで及び、彼らに休息はありませんでした。」
きっと、エーミールも被害者なのだろう。だって語っている彼の顔色は少し悪い。
『一体誰が、そんな事を…。』
状況整理をしようと紅茶を飲もうと手を伸ばす。そのまま持とうとしたのに、それは叶わなかった。エーミールが言う。
「その生徒の名前は、アイリス・ヴァルフォリア。平民でありながら特待生として招かれた方です。」
動きが止まる。その名前は聞き覚えがあった。アイリスは、このゲームのヒロインだ。品行方正、容姿端麗、文武両道。この四字熟語が最も似合う女である。
「理由は分かりませんが、大方玉の輿を狙っているのでしょう。そういう生徒は多くいますから、仕方の無いことだとは思いますが、これでは彼らが可哀想だ。」
その通りだとは思う。けれど、キャラ達から無条件で愛される彼女が何故そんなことを？
第五十八話「予想外の対面」→←第五十六話「異常なほどの拒絶」
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loW(プロフ) - あまねさん» ありがとうございます。 (8月8日 22時) (
レス) id: ae4054d4f7 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - はあもうさいこーかよあいしてます (8月8日 14時) (レス) @page11 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
loW(プロフ) - 春千瑠さん» そのように言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます。 (2023年4月13日 21時) (レス) id: ae4054d4f7 (このIDを非表示/違反報告)
春千瑠 - さいっっこぉぉ！！！応援します！これからも無理せず更新頑張ってください！ (2023年4月13日 19時) (レス) @page11 id: 6c259301f0 (このIDを非表示/違反報告)
loW(プロフ) - ミミックさん» そのように言っていただけて嬉しいです。これからも気ままに更新しますので、どうぞよろしくお願いします。 (2023年4月4日 23時) (レス) id: ae4054d4f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：loW | 作成日時：2022年10月29日 18時
