第五十四話「ある女の妄想」 ページ5
視点無し
女は目が覚めたら見覚えのない場所にいた。
明らかに自室とは違い質素な部屋に着た覚えがない服。混乱した後、女は母親らしき女性に名前を呼ばれて確信する。
(嗚呼、ここはあのゲームの世界なのね！)
女は生前、あるゲームを遊んでいた。その中のキャラクターにリア恋するくらいには、そのゲームが大好きだった。
名前にも聞き覚えはあった。何度も何度もリセマラした時に見たものと同じ。
その名は、このゲームの「ヒロイン」を意味していた。
母親が言うには、もう学園への入学手続きは済んでいるという。ならば、その時を待てばいい。このゲームは入学してからが正念場なのだ。
プロローグは平民の自分を面白いと思ったグルッペンにより、生徒会に勧誘される所から始まる。そこから物語が始まり、登場キャラクターの好感度を上げて色んな関係などを築き上げる。
面食いの女には至高だった。考えるだけで気分は高まるし、体験出来るならどんなに長い時でも待つ自信があった。
女は入学の日を楽しみにしていた。
『あ、あの！』
遂に待ち望んだ日になったのに、リボンを着けてくれるグルッペンは特に興味を持たないような、プロローグとは全く違う反応を見せた。それならば、と女は考えた。
見て貰えるよう、行動すれば良いと。
式が終わってから生徒会室に戻ろうとするメインキャラクター達に話しかける。見覚えのある顔に鼓動が早くなる。今、目の前に、彼らが、ユートピアがあるのだ！昂らなくてどうする！
「どうかしたのか？」
女は首を傾げる。本来なら、入学式が終わってグルッペンの方から勧誘してくるのだ。話し掛けられる気配が無かったから話しかけたのに、返ってきた返事は予想外過ぎた。
『これから！よろしくお願いしますと言いに！』
これで分かるでしょう？だってあなた達は、ヒロインを愛すると決まっているんだから！
けれど、やはりグルッペンの返答は考えてもいないことだった。
「そうか。では私達は用事があるのでな。」
頭を鈍器で殴られたような衝撃だった。他のキャラクターも、自分を興味深そうに見る者はいない。
『こんな、はずじゃ…、！』
おかしいおかしいおかしい！！！ヒロインは、チヤホヤされるのが普通なんだ！！！メインキャラから愛されるのは私だ！！なのに！なのに！！
『どうして、話しかけても意味が無いの！？おかしいわ！こんなの、有り得ないことよ！！』
女、アイリスはヒステリックに喚いた。
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loW(プロフ) - あまねさん» ありがとうございます。 (8月8日 22時) (
レス) id: ae4054d4f7 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - はあもうさいこーかよあいしてます (8月8日 14時) (レス) @page11 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
loW(プロフ) - 春千瑠さん» そのように言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます。 (2023年4月13日 21時) (レス) id: ae4054d4f7 (このIDを非表示/違反報告)
春千瑠 - さいっっこぉぉ！！！応援します！これからも無理せず更新頑張ってください！ (2023年4月13日 19時) (レス) @page11 id: 6c259301f0 (このIDを非表示/違反報告)
loW(プロフ) - ミミックさん» そのように言っていただけて嬉しいです。これからも気ままに更新しますので、どうぞよろしくお願いします。 (2023年4月4日 23時) (レス) id: ae4054d4f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：loW | 作成日時：2022年10月29日 18時
