【wrwrd】悪役令嬢に転生したので回避しながら生きてみます

第四十話「他令嬢のコネ作り」 ページ41

遂に私の番だ。こういうのはパーティで経験したことがあるが、緊張することは緊張する。深呼吸をして周りを見渡す。

『A・シャーロットと申します。一年という短い期間ですが、宜しくお願い致します。』

カーテシーはこういう時に役に立つので習得したかいがあったな。周りは何も言わないがこれが普通なので特に何もせず席に座る。

「相変わらず見事だな、お前は」

『お褒めいただき光栄ですわ』

まあ、グルッペンがそう言うなら問題ないだろ。自己紹介はお互いの家の地位や趣味、それなりの自慢話がされて無事終わった。貴族って目立ちたがり屋多いな。


「A！グルッペンの所行こ！」

先生の話が終わり、教科書等が配られ、入学式なんて特にすることもないので今日はこれで終わりらしい。令嬢が何人か話しかけようとしたがそれより先にゾムに話し掛けられた。

因みにグルッペンは生徒会の仕事があるらしいからどっかに行った。

「ちょっと、私たちがA様とお話しようとしていたのよ」

おっと、令嬢の悪い癖が。コネ作りに必死なのか、シャーロットという名前を聞いた令嬢やら御曹司が終わった途端に取り入ってもらおうとギラギラしていた。その機会を邪魔され、腹が立ってるんだろうな。

「貴方見かけない顔ね。もしかして庶民の方？」

「A様に庶民のお友達だなんて、冗談も程々にして頂ける？」

「これから私たちはティーパーティーをするのよ。どこかへ行ってちょうだい」

貴族だから、甘やかされてきたから、何でも自分の思い通りになると思っているのは仕方ない。そういう環境で育ってきたのだから。けれど、生まれた環境の違いを罵るなんて、令嬢の行いとして良くは無いだろう。

「お前…！」

『シャオロン、ダメよ。』

手を上げようとしたシャオロンを制する。入学早々停学になってもらっては困る。

「けど！」

『手を出した方が無条件で負けるのよ。』

「A様…！やはり私たちとお茶会を！」

庇っていると勘違いしたのか、一人の令嬢に腕を引かれる。お前力強いな、本当に令嬢か？

『勘違い、しないで下さる？』

絡みついた腕から抜け出し、唖然としている令嬢を見る。

『私はシャオロンが手を出して停学になったら困るから止めただけですわ。私の友人を罵った事については、許しているわけではないありません。』

バッグを持ってゾムの元まで歩く。今日は顔が良く見えるから、少し泣きそうにしていた。うん、許さん。

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