【wrwrd】悪役令嬢に転生したので回避しながら生きてみます

第三十七話「新入生兼生徒会長」 ページ38

そんな訳で。時々グルッペンの家に行けばゾムは居たのでよく話していたら懐かれた。コネシマと言いトントンと言い、警戒心薄くないか？もう少し疑え。

「なあ、これ着崩したらあかんの？」

「今日は入学式やから、少しだけ我慢してや」

心底嫌そうな顔をしながらゾムは制服を睨んでいた。ちゃんと制服を着たゾムは初めて見たが、普通に似合ってるな。

あれ？私制服に関しての感想しか言ってなくね？え？これでいいのか？？

「Aちゃん？どうしたん？」

『い、いや、なんでも…。』

「そっか。そろそろ始まるみたいやから、俺らも行こうや」

彼らはもう会場に入りそうだった。…本来なら、私はここに居ないのだろうな。

『うん。』

まあ、ヒロインが現れるまで我慢しますか。


『入学してくるの来年では？』

「A？何の話や？」

『いや、何でもない。』

入学式中。私はある致命的なミスをしていた。そう、ヒロインはショッピと同じ歳。つまり入学してくるのは来年である。最低でも彼らとは一年、学園生活を共にしなければならない。折角、折角ヒロインと交代出来ると思ったのに！！

「あ、グルちゃんや」

壇上に目を向ければ誰よりも制服が似合っている男が今まさに上がろうとしていた。今も思うよ。君本当は人生二回目なんじゃないかなって。

「生徒会長になりました。新入生、グルッペン・フューラーと申します。」

グルッペンは一年生にして生徒会長である。しかも入学式とか意味わからん場所でのお披露目だ。現実なら有り得ないがここはゲームの世界。何ら不思議ではない。

『…流石というか、なんというか。』

「まあ、グルッペンやしな」

おかしいと思うがそんな時は「グルッペンだから」の一言で解決するのだから彼の存在は結構偉大だ。挨拶をしている彼と目が合って微笑まれた。

『あら、こちらを見てるわ』

「決まってるな！グルッペン！」

一応微笑み返して彼の演説基挨拶を聞く。なんであんなに上手いんだろう。やっぱあれか。兵法書で学んだのか。誰よりも熱心に読んでたもんな。

「以上をもちまして、新入生代表の挨拶とさせていただきます。」

約五分くらいだろうか。周りから自然と拍手が溢れるくらいには素晴らしいえんぜ…挨拶だった。

「流石やな、グルさんは」

トントンが尊敬する眼差しで彼を見ている。まあ、そういう人だからな。無意識に人の視線を集めるのがグルッペン・フューラーという男だ。

『ええ、そうですね。』

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