【銀魂】終焉まで貴方と ー続ー【虚】【吉田松陽】

8話目 ページ8

ー朧side

最近零の様子が変だ。
何かをぼーっと考えていたり、仕事をやけに早く終わらせたがる。
仕事を終えたあとはすぐにその場を去り、どこかへと向かう。前に様子を見に行った時、部屋にはいなかった為どこか別の場所へと行っている筈だ。


誰に会っているのだ。


零は誰かに会っているに違いない。
それが女なのか、男なのか、人間であるのかすら分からない。だが、明らかに誰かに会いに行っているという事だけは分かる。

俺が話しかけてもサラッと流してどこかへと向かう。

俺よりも大切な奴なのか、幼馴染の俺よりも。



顔も知らぬ何者かへの嫉妬は日に日に大きくなり、独占欲は増していく。

あいつはいつも俺の隣にいた。

分からないことがあればすぐに俺に聞き、解決すれば笑顔で礼を言う。

何処へ行くにも着いてきて、一時期は鬱陶しくて仕方がなかった。

だが今は、あいつがいないと落ち着かないようになってしまった。

恋心とは面倒なものだ。
捨てられるなら捨ててしまいたい。

「じゃ、私はこれで」

部屋を出ようとした零の腕をつかみ、力ずくでベッドへ押し倒す。

驚きと怯えを滲ませた零の顔を見下ろし、今俺がこいつを支配しているという事実に口を歪ませる。


俺は、俺の事情で罪なきこいつを犯す。



俺は、いつまでも弱いままだ。

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