Pure Love (ページ6)

今日:16 hit、昨日:184 hit、合計:228,863 hit

5ステージページ6

『え、わ、』

JN「ごめんね。ほっとけなかった」

そう言った人は、涙で滲みすぎて顔が良く判断できない。

『すみません、』
JN「ふふ、笑見えないよね。ちょっと待って」

というとポッケからハンカチを取り出して、私の目元を拭き取る。
すると、マスカラで滲んだ視界で少し黒いけど、人の判別はできるくらいになった。
………顔は見たことがある。けれど、名前がわからない。

そして…犬みたいで、優しい顔で私も見つめている、ことは分かる。

JN「泣きたい時は、泣きなよ。ね、ほら…」

『ふえっ、んー…』

と言って、私の手を取って、ハンカチを握らせた。

JN「きっと泣き止まないね。それ、使って」

そういうと、私の頭をポンポン、と撫でてこう言った。

JN「お疲れ様、おめでとう。…Aちゃん」

涙は止まらなかった。
言った言語が、日本語だったからだ。
流暢とは言いずらいカタコトの日本語。

彼は、私が日本人だということを認識して、日本語で言ってくれた。

この世界では、日本人のアイドルはたくさんいる。
だからもうそこまで日本人であることに特異性はないし、韓国の世界だから韓国語で話すことが多かった。
私のグループは日本人が他に居ないから、余計に韓国語を使ってばっかりで、日本人の友達が身近にいないから寂しい思いをしていた。

そんな時に日本語を聞いたというだけで、心がなんだかポカポカした。

ハンカチ、返さなきゃ……。

まだ名前も知らない、犬のような彼の後ろ姿を見つめながら、まだ止まらぬ涙を流していた。