Pure Love (ページ45)

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ジェノside

「ジェノ、お前に新しい仕事が決まった」

マネージャーに言われた時、なにかのMCかなーって思ったけどもうMCはやったから、ラジオかなんかかな？って思ってた。
渡されたものは台本で、ドラマ！？と自分の胸が高鳴った。ジェヒョ二ヒョンとか、ドヨニヒョン、うちのジェミンとか、出たメンバーはとてもそれのお陰で成果を得たと思う。
ドラマに出る、って大きなことで。もちろん地上波なんかじゃなくてウェブドラマだけど、それでもアイドルにとったら大きなことだ。

「わあヒョン、ありがとうございます。頑張ります！」
「キャストだけど、ITZYのユナさんとダブル主演だから」
「ユナ！？」
「え！すご！」

後ろからメンバーの声がうるさい。そして、一瞬でももしかしたらその共演相手がAだったりしないかな、なんて考えた僕も馬鹿だ。
Aは完全にドラマ班じゃない、なんならドラマに曲を提供する側なのに。笑

それを伝えた時のAといったら、もう可愛いのなんの。完全にユナ、と名前を聞いた時点で動揺が丸見え。その上、拙い動作で彼女からキスをしだした時なんて、どこかに2人で逃げちゃいたいほどだった。

*

「こんにちは、イジェノです。よろしくお願いします」と基本の挨拶を交わして僕はドラマ撮影が始まった。

「オッパ、ドラマはじめてですか？」
「あ、少し出演したくらいで、主演なんて初めて」
「私もなんです〜！あの、緊張するので台詞合わせしませんか？」
「あぁ…そうだね」

正直、台詞合わせなんてどころじゃなくて、自分一人でセリフを確認したい。けど、そんな余裕もなくて彼女のペースにしてやられた。

それを見ていた周りのスタッフの表情を見ると(美男美女が戯れてる…！)とでも言いそうな表情で僕たちを羨ましそうに見ている。はぁ、そういう感じじゃないんだけどな、僕。

「私ほんと緊張してるんです、なので世間話でもしませんか？笑」

と積極的に声をかけてくる彼女の気遣いは嬉しいけど、ちょっとあざといというか…彼女にそんなイメージをずっと持っていて、あまり乗り気ではない。
でも、現場の為につっけんどんにするのも違うはずだ。

「そうだね。あ、この間新曲聴いたよ」
「ありがとうございます！ドリム先輩もお聴きしました、もう歌もダンスも最高で〜…」

と話が進んでいく。でも、僕はなにか足りないな、と思ってしまった。Aみたいなピュアさ。やっぱり、早くAに会いたい。