Pure Love (ページ44)

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Aside

「僕ね、ドラマ決まったんだ」
『え？ほんと？すごいね！』

正直、私との格差に悩んでたジェノさんにアイドル以外の仕事が舞い込んできたことが嬉しかった。
これで、彼も個人のステップアップができるって。

『他に誰か知り合いとか出るの？』
「んーとね、ITZYのユナちゃんと共演するんだ」
『あ、ユナ、ちゃん…なんだね』
「あれ？Aちゃん？明らかに戸惑った声してたけど？」

むに、と私の頬を抓ってブンブンと振り回す。
私の無意識の嫉妬に、彼は面白がってるみたい。
面白くとなんともないよ！だってユナちゃんはすっごく有名な子だし、可愛いし、あざいといし……私と正直真反対というか。私はどう頑張ってもああなれないんだもん。

ジェノさん、ほんともてるし。

「A、考えてること言ってるの？ってくらい分かりやすいよ笑」
『ち、違うこと考えてたんだもん…！』
「酷い嘘だ笑」

あー、可愛いね、って言って私の頬をまたムニムニして。
そして、周囲を確認するとふんわりと抱きしめてきた。

「撮影期間に入ったら、忙しくなるけどちゃんと連絡するよ。それは変わらない。だって、Aはもっと頑張ってるもんね」
『私だけじゃないよ。ジェノさんも一緒。これから忙しくなるけど……私のことも構って、ね。』
「もーーー、なんでそうやってまた、もう！」
『？？？』

こうやって、ジェノさんは頭を抱える部分が多数あるのは何故なのかいまいち分からないんだけど、その後に耳を真っ赤にしながら私への愛情を見せてくれるってことが分かってるから、また期待しちゃうよ。

あ、顔を上げたら男の顔をしてる。

「A、好き」
『うん』
「キス…は？」
『今日は外だよ』
「なんで外にしようって言ったんだろ僕…」
『ジェノさんが散歩したいって言ってたじゃん』
「作業室行こう、今から」
『ちょ、っと、イチャイチャする気？』
「逆にこのまま帰るの？Aはできる？」
『作業室をイチャイチャする場所と捉えてるって分かったので、今日はこれまでです』
「A、アニー！アニヤ！」

プイ、とそっぽを向く振りをした私に必死に何かを言っている。
仕方ないな、私だって……ハグだけでは帰れないよ。ジェノさんへの愛をもっと貰わなきゃ。

「来て」と呟いて、少し暗い森の中に進む。何してるの？と辺りを見渡す彼を手招きして、屈ませる。
チュッと見慣れたリップ音を響かせると、2人の距離はまた縮まった。