Pure Love (ページ40)

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「A、付き合おう」
『で、でも』

いきなりの言葉に困惑しつつも、待ち望んた言葉でもあった。

「悩んでることが僕のことが好きじゃない、なら仕方ないよ。でも、僕のことを好きでしょ？」
『ちょ、……なんでそんなに自信満々なんですか』

「んー、コーヒーを落とした辺りから？笑」
『やめて、言わないで。恥ずかしい』
「ショックでみんなの前で落としちゃうんだもんね？」
『ジェノさんなんて嫌いです…』

同時に、私だって彼が私のことが好きかも、って思うような仕草を知ってる。たまに、私のことが愛おしいって顔をしてるのも。

「僕たちも人間だから、恋愛くらいしよう」
『…というのには、言葉が足りてないです』
「A、好きだよ」
『ふふ、私も』

私も、と言ったら彼は大型犬のような笑顔になった。
人生で初めての恋愛に、私の心はポワポワと暖かい何かが生まれている。

「でも、秘密にしよう。スキャンダルだけはご法度でしょ？」
『うん。あと、匂わせはファンが嫌がるから、なるべくSNSには気をつけてね』

その他にも細かいルールを決めて、私たちは晴れて交際することとなった。これは、極秘交際である。

「Aは恋愛が初めてでしょ？だから、ゆっくり僕たちのペースで進めてけばいいよ」
『うん…』
「ん？どうした？」
『なんか、ジェノさんは余裕で、悔しい……』

そう言えば、少し笑ったあとこっちを向いた。

「初めてじゃないけど、めっちゃ余裕ないよ。どうしたらAが傷つかないか考えてるし、理性抑えてるよ？」
『…そうなの？』
「ほんとにAは自分が可愛いことをわかってない！」

と少し怒り気味だった。
帰る時は気をつけてね、と言って、いつもはバイバイ、と手を振って終わるところだけど。

「ちょっとこっちに来て」
『…？』

こっちに手招きする彼の姿について行くと、フワリと何かに包まれた。その私の肩に乗る重みと甘い香りで抱きしめられてることに気づく。
この時間はなんだか落ち着くと同時にドキドキも鳴り止まない。

『…じ、ジェノさん』
「我慢してたんだからこれくらいはいいでしょ」

ほんとに幸せそうに笑うから、私も抱きしめられてる間幸せだな、なんて思ってしまった。