Pure Love (ページ38)

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Aside

「この間言ってたドラマ何話まで見た？」
『最近見れてなくて…12話で終わってる。ジェノさんは？』
「ほ？奇遇だね、僕も12話笑」
『あの後の展開が楽しみってところなのに〜。家帰ったら作業で忙しくて見れそうにないんですよ』

明日、ハルトくんとの打ち合わせを控えてる私は、明日までにまた編集をしないといけなくて。でも頭が煮詰まりそうだったから、今こうやってジェノさんと会えて息抜きになってる。

「じゃあさ、見ようよ」
『へ？』

「そのドラマ」

この空間で？今？

『今ですか？』

「うん。スマホ出して」

最近最新機種に変えたばかりの私のスマホを操作してはい、と渡すと横にして、正面を向いていた椅子を隣に持ってくる。
今までなかった一気に近づく距離。

「うわ、ここちょっとムカつかない？」
『う、うん』

シーンを覚えてないくらいこの近い距離にドキドキの私は正常を保てない。
そんな私のことなんて気にもしないで「やばい」とか言うんだもん。

「Aー？」
『へ？』

「さっきから集中してないね？」
『してますよ？』
「いーや、してない」

『ち、近いから…』

意味がわかったジェノさんは、ニヤリとしてからふふ、と笑を零してこちらを向く。

「ふふ、ドキドキしてるんだ」
『な、』
「自分だけだと思ってた？僕もしてる」

隣にあった手を机に出てた私の手に少し被せてくるように置く。その手は大きくてゴツゴツしてて、男の人の手だった。男の人の手に触れたことがない私は、この大きい手がどこにでも連れて行ってくれそうで私の手をひっくり返して握り返したらいいのに、って思った。

まあ私の恋愛偏差値では到底出来ないから、ただこのまま握っていて欲しい、と願うことにした。

でも、ドラマに集中は出来ない。

『近いです…』
「ん〜？」

まだニヤニヤしながら横を振り向いて首をかしげる。

確信犯だ。

多分あれだ、こういうのあざといって言うんだよ。

まんまと確信犯に引っかかった私の動悸は未だに落ち着くことがない。
私の恋した相手は、とっても沼性が強いみたい。