Pure Love (ページ31)

今日:100 hit、昨日:129 hit、合計:228,763 hit

30ステージページ31

ジェノside

『最近ね、作業が大変で…ごめんなさい、少し集中してる時は返信が遅れちゃうかも』

そうやって出てきたアイスティーを飲むAは少し楽しそうな表情を浮かべる。

「そうなんだね。コラボか楽曲提供？」

なんの疑いもなく聞いた。

『あ〜、うんとね。TREASUREって知ってる？』
「うん」

知ってるも何も、同世代のライバルだし、大手事務所YGなんだから知らないはずがない。

「Treasureに楽曲提供してるの？」
『まあほぼそうなんだけど…ハルトくんのfeatを任されて。一緒に曲作りしてる最中なんです』
「ハルト？」

急にAの口から男性の名前が出てくるだけでも驚くのに、それが日本人なんて。
またもや、一緒に曲作りという名目は僕がどう頑張っても入れる隙がない。

Aがいることを忘れて、頭を抱えた僕を見て、Aは驚いていた。

「ハルトくんとは、日本語で話すんだよね」
『うん。久しぶりに日本語を喋る機会なんだぁ。ちょっとホッとしてる』

そりゃ日本人は日本語喋りたいだろう。いくら韓国になれているくらい韓国語がペラペラといっても。

僕より距離が縮まるのが着実に早い予感しかしない。
そんなのって、気に入らない。

完全に無意識に拗ねた顔になってる僕に対して、Aは何も気づかない。

『それで、この間作業室にこれを持ってきてくれたんです。日本のお菓子！見て、ジェノさんも好きだと思って持ってきちゃった』

そう言って微笑みながらバッグをパンパンにして持ってきたお菓子を取り出す彼女の顔は笑顔だった。

「今日の荷物ほぼそれじゃない？笑」
『美味しいから絶対食べて欲しくて。ダメだった？』

こんなこと、ハルトには言ってないだろうな。
僕だけ僕だけ、と自分に言い聞かせるようにさっきの小さい心を心の中に押し付ける。

「うん、美味しい！これ日本のコンビニにも売ってる？」
『あ〜、どうなんだろう。でも多分売ってるかもしれないです』
「絶対買う。美味しいね」

他にも世代の話で盛り上がったとか、色々言っていて、韓国人で彼女より年上の僕は、なんだか少し疎外感を感じた。

彼女と同じ国に生まれてたら、彼女の国の言語を話せたら良いのに。

僕はいつの間にか日本語の教科書を手に取っていた。もちろんAには内緒で。