Pure Love (ページ2)

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デビューをしてから、アイドルというものが自分の思っているより面倒くさい場面が多いことに辟易している、
2年目アイドル、Aです。

最初はデビューしたて、という名目で「携帯を持っていません」の1点で行こうとしていた。

「あ、もちろん！交換しましょう〜(^^」

と横で満更でもない様子で交換しているのはメンバーのマンネ、カンナ。

………。

「A、携帯持ってないなんて嘘だよね？」

と先輩アイドルに責め立てられてしまってから、その技は使えなくなった。
それでも、その先輩とは交換したくなかったので、「故障中なんです」と言って乗り切った。かなり苦しい言い訳だったが。

そんなことより、今の私たちはいい波に乗っていて、音源の成績も初の5位以内に進出し、初週のステージを迎えるという緊張した場面だった。

デビューした年は、CUBEはそこそこ大きい会社であったし、話題性が呼んで、多くの新人賞を頂いた。
しかし、授賞式や音楽番組では、緊張のあまり集中をしすぎて誰が誰なのかさえよく分からない状況……。

話しかけてくれるヨジャアイドル達とは、そこそこコミュニケーションを取ったのだが、未だに緊張してしまうのと、何故か私の普段の様子だと怖がられている可能性があるらしい。

ナムジャアイドルはというと、毎回挨拶はしに行くが、アルバムを渡すのは私の仕事ではなくリーダーの仕事だし、特に用事もないので楽屋からはすぐに去るようにしている。

……んだけど。

「Aちゃん、だよね？出来れば、話してみたくて」

執拗なあちらからの声掛けは、未だになり止む気配がなさそう。

どうやって、躱そうか。
また今日も嫌な時間がはじまる。