検索窓
今日:65 hit、昨日:65 hit、合計:45,528 hit

07 ページ7

そろそろいい時間だななんて思った頃。お会計はわからないうちに風磨くんが済ませてくれていた。
そんなスマートな彼に、恋をしない人なんているんだろうか。

「なに?」

お店から出て、戻った地下駐車場は薄暗く空気が悪い。
じっとその綺麗な顔を見れば、風磨くんは訝しげな表情で視線を返す

「できた男だなぁって」
「え、なに、褒められてる?」
「褒めてる」
「ありがとうございまーす」

そう言いながら、風磨くんは私をみて「結構酔ってるしょ」って笑った
酔っている自覚はある。最後の一杯が余計だったかなぁとフワフワした頭で思いながら、風磨くんの後ろをついていく。
どこかから開いていた車のエンジン音が止まった

ピタ、と、突然足を止めた風磨くんの背中に、ぶつかりそうになって私は顔を上げる

「え、なに?」
「……いや」

何かを誤魔化そうとしてる表情
その視線の先を追って、「あっ」と声を上げたのは私だった。


「A?」

こちらを向いた彼は、不意に私の名前を呼ぶ。
スラッとしたスーツ姿。
見慣れたそれは、私の彼氏だって頭が判断するまでに時間はかからなかった。
今日は風磨くんと飲みに行くって連絡入れているし、やましいことは何もない。
駆け寄ろうとする私をみて、彼が慌てて車のドアを閉めた。


「仕事は?」
「あー、これからまた上で」
「こんなとこで?」
「接待なんだよ」
「そっか。何時に終わるの?待ってようか?」
「え、いや」

助けを求めるように彼は風磨くんに視線を送る。
風磨くんは分かりやすくため息を吐くと、私の肩に手を回して、口を開いた。

「せっかく飲まなかったんだから俺に送らせてくれる?」
「俺も遅くなると思うから、風磨に送ってもらって」

しどろもどろな彼に違和感を感じながらも、風磨くんの顔が近い事に不覚にも動揺する。
胸に抱いた罪悪感を誤魔化すように、私は素直に頷いた。
目の前の彼氏があからさまにホッとしたのが解った。

「じゃあ、風磨、頼むわ」
「言われなくても」

心なしか冷たい風磨くんの声
ひらひらと手を振る彼氏に見送られて、肩に回された風磨くんの腕に誘導されるように、私は踵を返した。

08→←06



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (142 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
304人がお気に入り
設定タグ:菊池風磨 , SexyZone
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:しい | 作成日時:2024年2月7日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。