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お酒が入っちゃえば、この場所に対する警戒心も和らいで、いつもと変わらない会話をしながら時間は過ぎていく。
2日連続飲むとは思わなかったなぁ、と、私がぼやくと、隣で風磨くんが柔らかく微笑んだ。あざとい。

風磨くんの視線から逃れたくて、誤魔化すように手に取ったのはテーブルに伏せてあったスマホ。
さっき送った彼からの返信は、まだ無い。

「連絡、したの?今日は」

少しだけ、風磨くんの声のトーンが変わった。
手にしていたそれから目線を上げると、パチリと目が合う。

「……した」
「そっか」

その返事からは風磨くんの気持ちを読み取れない。
昨日は内緒でって言われたけど、今日はそんな事言わなかったじゃない。
彼氏だって、風磨くん相手に別に警戒はしていないはず。今のところは。

「結婚、するっていつ?」
「彼の仕事が落ち着いたら」
「それって、いつ?」
「……知らない」

そんな意地悪な質問しないでよって、喉まで出かけて、言葉を飲み込む。

結婚しようねって彼が言ってくれたから、信じて待とうって思っていた。
具体的に何も進んでいない事には、気づかないふりをしていた。

「本気だから、昨日の」

ため息のような笑みを落とすと、風磨くんはゆるやかに言葉を流す。

「だから、もう少し、俺のこと意識して?」

本気なのか冗談なのか、わからないようなイントネーション。小首を傾げて、語尾にハートが付いてそうだ。

「いやいやいや」
「今日何回目、それ」
「……何で、今なの?」

その疑問は、自然と口からこぼれ落ちた。
私たちは知り合ってから、それなりに長い年月を友達として過ごしてきた。
それがどうして、今、私のことを好きって言うの?

「何で、だろうね」

俺的にはベストなタイミングだと思ってるけど、なんて呟くように言うと、風磨くんはグラスを傾けた。
中身はお茶だけど絵になる。悔しいけど。

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作者名:しい | 作成日時:2024年2月7日 15時

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