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風磨くんが歩く少しだけ後ろをついていく。
隣は歩かないにしても、早くもなく遅くもない歩調は、きっと私に合わせてくれている

多分、今日の飲み会のことで私が風磨くんに伝えたのは、お店の場所と2次会に行ったら終電かもしれないっていうくらいで
それを頼りに、私の事を探してくれたんだろうか、なんて、そんなことを考えて嬉しくなってしまう自分が嫌だ


少し歩いた先に風磨くんの車があって、彼が乗り込んでから、後部座席のドアを開けた。
遠慮がちに座ると、シートが沈む。

なかなか出発しない車
「風磨くん?」とかけた声に、彼は一度キュッと口を結んで、迷ったようにゆっくりと開いた

「……あのさ」
「うん?」
「黙ってよーかと思ったけど、やっぱ言うね」

その言葉の趣旨がわからずに私は首を傾げる。
目線の先の彼は、ため息混じりに言葉を流した。

「元彼さん。寄りを戻したいんですってよ」
「…………はぁ?」

開いた口が塞がらないとはこの事
別れてから、というか、振られてからどのくらい経ったっけ、2、3ヶ月くらいだろうか
一緒になるって言っていた相手は、一体どうしたんだろう

ぐるぐると頭を巡る疑問に、風磨くんは「連絡しても既読にならないって嘆いてた」って呆れたように付け足した。

そういえばメッセージが来ていたけれど、そんなの読んでいない。

「なんで」
「それは本人に聞いて」
「いや……もう」

連絡も取りたくないと思っていた相手
うちにあった元彼の荷物はもうとっくに送りつけた。
スマホを取り出すと、その荷物の到着連絡だと思っていたメッセージを恐る恐る開ける。

そのメッセージは長文で、読む気にもならないそれを掻い摘むと、新たに好きになったと言うお相手が付き合った途端豹変したと言うところだろうか。

うんざりするように頭を抱えると、運転席の風磨くんが振り返る

「どうすんの?」
「どうするも何も……」

元彼に対して抱いてしまったのは面倒だと言う気持ち。
そんな自分の気持ちに気づいて、ふいに顔をあげれば、数センチ先で風磨くんの瞳がパチリとあった。

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作者名:しい | 作成日時:2024年2月7日 15時

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