【アニキャラ】"貴方"という"私"【成り代わり短編集】

掠めるような＊赤司成り黒子切甘夢＊黒子生誕祭2016 ページ44

｢テツヤ、なんで、どうして…｣


真田コーチに言われて初めて知った

テツヤの、退部

大輝が開花して

だんだんみんなが離れていった

残ってくれたのは、真太郎だった

でも、違う、違うんだ……

彼には悪いけど、違うの…

テツヤ、テツヤ………っ


｢なんで、っどうしたら、良かったの……!!何がいけなかったというの…お父様の言う完璧であらなければならない、のに…｣


いったい何が、間違ってたの…


｢なんで、隣には、貴方がいないの……テツヤ｣


貴方は今日が何の日か知ってて

それでいて私から離れたというの…？

とても、とても楽しみにしていたのに

何よりも大切な貴方の、誕生日…


｢テツヤ、テツヤ、どこ………｣


退部したと知らされた日から

たったの1度も見つけられなかった

本気のミスディレクション

見つかる筈がなかった…

どんなに探しても、走り回っても

貴方に会えない私は

いったい、どうしたらいいの…


｢テツヤ…っ、いか、ないで…｣


中庭の誰も知らない大きな木の根元

たくさんある木の中の

1番真ん中の木の根元で、ひとり

いつもなら涙を掬ってくれる手を、待った

初めての、サボりだった

朝からずっと、ひとり


｢A、さ、ん………｣

｢っ!!て、つや…あ、テツヤ、テツヤ…ぁ…！｣


不意に目を見開いたテツヤが現れて

つい、抱きついた

久しく泣いていなかった

テツヤの退部を知ってからは

毎晩泣いていたけれど

誰かの前で泣くのは、久しぶりだった


｢テツヤ、なんで、どうして…っ私を、ひとり、に、しないで…っ｣


お母様が亡くなってから

私はひとりだった

テツヤが、キセキの皆がいてくれて

ひとりじゃないと知った

でも、みんな、いなくなった


｢Aさん……すみません、でした……｣

｢てつ、や…？｣

｢貴女からだけは、逃げてはいけなかった…なのに僕は逃げてしまった。その結果、貴女をひとりで泣かせてしまった…｣


テツヤの悲痛な表情に、息がつまった


｢…こんな僕と、まだ一緒に、いてくれますか…？｣

｢っえぇ、勿論…！一緒に、いて…テツヤがいないと、誰も、涙を掬ってはくれない…ひとりはもう、じゅうぶん、よ…｣

｢Aさん、今でも好きです。もう逃げません｣

｢ふ、ふふっ…えぇ、もう逃げないで｣




(掠めるような暖かいキスに)

(どうしようもない幸せを感じた)




黒子テツヤ生誕祭2016記念小説

夢じゃない＊徳川成りリョーマ甘夢＊十六夜（女）様リク→←背中＊リョーガ成りリョーマ甘夢＊十六夜（女）様リク

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