（07.） ページ8
07.
.
カレーを平らげたAはそのまま眠りについてしまった。
お腹いっぱいになったから眠くなるという子どもっぽさに樹は呆れながらも、昔と変わらないAの姿に少し安心感を覚えた。
環境が大きく変わっても、Aだけは変わらないでいてくれることが、正直ありがたいと感じていた。
樹はAが起きないよう、外に出て電話をかける。
｢もしもし、北斗?｣
『おう樹、どした?』
｢どした、じゃない。お宅の大切なお嬢さんを預かってるのですが｣
『あー、やっぱり。どうせ樹のところだろうなとは思ってた』
｢なら迎えに来いよ｣
『いやいや、俺そんな空気読めない人じゃないからさ』
｢いや、話の意図が掴めない｣
『まぁまぁ…じゃあ、とりあえず明日の朝にでも迎えに行きますので』
｢え、なんで、今から迎えに来てよ｣
『え、やだよ。もう遅いよ?外はもう寒いよ??』
｢いやいやそうゆう問題??｣
『まぁ、樹になら一晩預けるくらい大丈夫かな、と』
｢別に何もしないから、そこは安心していいけどさ｣
『ならいいじゃん、おやすみなさーい』
｢あ、ちょっ待っ…｣
自分のペースを乱さないその様に、樹は頭を抱えた。
電話の相手は"松村北斗"、Aの執事だ。
そして樹にとっては、親友とも言える仲でもある。
北斗の家系は代々、Aの家の執事として重宝されている。
北斗も例外ではなく、父親の背中を追い、Aの執事となった。
小さい頃から住み込みとして働く父親と共にAの家で生活し、ちょうど樹とAと同じ年齢であったことからふたりの遊び相手として可愛がられた。
執事として働くようになったのは、高校生になってからだ。
中学まではふたりと一緒に学校に行っていたが、高校へは進学せず執事としてAのために身を捧げる道を選んだ。
そんな北斗を、樹は心のどこかで尊敬していた。
部屋に戻ってもAは天使のような顔で眠っており、樹はしかたなくAをお姫様抱っこし、自分のベッドへと運んでやる。
そして自分は、床で眠り込んだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 303人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さいか(プロフ) - ちいさん» お褒めの言葉、ほんっとうに嬉しいです(;_;) 最後までどうぞよろしくお願いします！！！ (2019年1月25日 20時) (
レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(プロフ) - ゆりさん» コメントありがとうございます！ ぜひ、最後まで楽しんでください！！ (2019年1月25日 20時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - 初めて読んだ瞬間、なんて素晴らしい文章力だろうと感動しました。個人的に大我くんが好きなので、女の子と上手くいって欲しいな…と祈りながらも楽しく読ませて頂きます笑 これからも応援しています。 (2019年1月24日 20時) (レス) id: a3ba396e6d (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - 今回の作品もとても楽しみにしています！ (2018年12月21日 11時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さいか
| 作成日時：2018年12月20日 23時
