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あめいずを出たふたりは背を向け、それぞれの家の方向に歩みだした。
しかし、もう2度と顔を合わせることがないかと思うと、Aの足は止まった。
そして、樹の方を振り向き、その小さくなる背中に向かって普段は出さないような大声を出す。
｢樹!!!｣
樹は名を呼ばれることを待っていたかのように、当たり前のように振り向いた。
｢最後のわがまま!!｣
｢…なに?｣
Aは樹が返事をくれたことに安心して、満面の笑みを浮かべた。
｢…家まで、送ってよ｣
Aのそのセリフに樹はため息をつきながらも、ゆっくりと来た道を引き返す。
そして、Aの前まで来ると優しく笑った。
｢了解した｣
そう言って敬礼のマネをして見せた樹に、Aも優しく笑った。
｢ねぇ樹、思い出ごっこしよう｣
黙って歩いていたAが、なんの前触れもなく放った一言に樹は思わず足を止めた。
｢なにそれ｣
｢ふたりの思い出を言い合う、それだけ｣
｢いいよ｣
なんともくだらなくて、意味もなさげなそのゲームをふたりは始めた。
ふたりは共通の思い出を交互に言い合う。
幼稚園で作った樹の泥団子はすごく綺麗だったとか、親に内緒で小学校を抜け出したらバレてめちゃくちゃ怒られただとか、中学生の時、樹の下駄箱に入っていたラブレターをAがこっそり盗み見してただとか…思い出は尽きなかった。
あの時はこうだった、あんなこともあった…そんな話をするのは初めてだった。
ふたりは過去を振り返るなんてする隙がないほど、今の時間を楽しんで、満喫していたのだ。
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さいか(プロフ) - ちいさん» お褒めの言葉、ほんっとうに嬉しいです(;_;) 最後までどうぞよろしくお願いします！！！ (2019年1月25日 20時) (
レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(プロフ) - ゆりさん» コメントありがとうございます！ ぜひ、最後まで楽しんでください！！ (2019年1月25日 20時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - 初めて読んだ瞬間、なんて素晴らしい文章力だろうと感動しました。個人的に大我くんが好きなので、女の子と上手くいって欲しいな…と祈りながらも楽しく読ませて頂きます笑 これからも応援しています。 (2019年1月24日 20時) (レス) id: a3ba396e6d (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - 今回の作品もとても楽しみにしています！ (2018年12月21日 11時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年12月20日 23時
