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｢君の贈り物、君の覚え書きは、私の頭の中に不滅の記憶力でしっかりと刻まれ｣
窓の外では桜が咲き始めているのが見える講堂に、Aの朗読が響く。
美しく、誰をも虜にするその声がこの講堂に響くのもきっと今日が最後だろう。
今日は聖ノ石高校の卒業式だ。
｢少なくとも、頭と心が、本来の機能を有する限り｣
卒業式だから、というわけではないがめずらしく樹は居眠りをせず黙ってAの声に耳を傾けていた。
あのクリスマスの夜から、Aと樹は1度も口をきいていない。
樹は複雑な気持ちでステージ上のAを見つめる。
隣でこーちは涙を流しながらAの朗読に耳を傾けているが、樹はそんなに感動できるほど高校生活に思い入れはなかった。
ただ、このままだと、高校という繋がりを失えば、もうAと会うことがなくなってしまうような気がして、それならば少しでもAの姿を目に焼き付けておこう、なんて樹は考えていた。
｢その二つが君の姿を消し去る忘却に委ねるまで、君の記録が失われることはない｣
聞き慣れたAの声が、樹の胸の真ん中を揺らす。
Aと昔みたいに仲良くやっていきたいと思う気持ちと、このままただの幼なじみで終わりたくないという気持ちがぶつかり合っていた。
｢思い切って君の覚え書き帳を放り出し、もっと多く君を受け入れる心の手帳に頼ることにした｣
Aが朗読を終えステージから降りると、樹は自然と目を閉じて眠りについた。
Aもまた、自分の席に戻ると小さくため息をついた。
この卒業式が終わると、いよいよ大我と同棲するかどうか決めなければならない。
返事をもう2ヶ月も待ってもらっていることの罪悪感がAを襲い続けていた。
大我のことは好きで、今すぐにでもOKを出したい気持ちもある。
しかし、いざそれを伝えようとすると樹の顔が浮かんで邪魔をする。
樹とも喧嘩をしてそのままで、それが気がかりで仕方がない。
校長の長いありがたいお話を聞いても、Aの心は全く晴れなかった。
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さいか(プロフ) - ちいさん» お褒めの言葉、ほんっとうに嬉しいです(;_;) 最後までどうぞよろしくお願いします！！！ (2019年1月25日 20時) (
レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(プロフ) - ゆりさん» コメントありがとうございます！ ぜひ、最後まで楽しんでください！！ (2019年1月25日 20時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - 初めて読んだ瞬間、なんて素晴らしい文章力だろうと感動しました。個人的に大我くんが好きなので、女の子と上手くいって欲しいな…と祈りながらも楽しく読ませて頂きます笑 これからも応援しています。 (2019年1月24日 20時) (レス) id: a3ba396e6d (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - 今回の作品もとても楽しみにしています！ (2018年12月21日 11時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年12月20日 23時
