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京本家の大きな扉の前で、Aは大きく深呼吸をする。
なんて言い訳しようか、それよりも謝る方が先か、もし捜索願いなんて出されていたら…と、Aの頭の中は不安だらけだった。
そんな不安を顔に出さないよう、Aは思い切って扉を開けた。
｢ただいま帰り、ま……え?｣
扉を開けた先には、玄関で倒れている大我の姿があった。
死んだように眠っている大我は、Aの声でハッと目を覚ます。
｢…A!!｣
大我は身を起こし、Aの姿を確認すると勢いよく彼女に抱きついた。
Aはまだ状況がつかめず、とりあえず大我に合わせ、大人しく抱きつかれる。
｢よかった…帰って来なかったらどうしようかと思った｣
｢…ごめんなさい｣
大我は、泣いていた。
その涙で、Aは罪悪感で胸が張り裂けそうな思いになる。
こんなにも優しい人を傷つけ、裏切ってまで、樹と幸せになりたいと願う自分が、心底嫌になった。
｢Aが無事ならそれでいいんだよ｣
そう優しくAの頭を撫でる大我は、Aに、一晩も帰らなかった理由を聞かなかった。
Aが無事なら、大我にとって理由なんてどうでもよかった。
しかし、大我はAの髪から香るいつもとは違うシャンプーの香りに気がついていた。
大我はAから身を離し、Aの顔を愛おしそうに見つめ、キスをする。
そこにタイミング悪く、ジェシーが姿を現す。
｢大我様、そろそろ支度を｣
ジェシーはふたりの雰囲気なんて気にせず、大我に出かける支度をするよう促した。
｢…わかってるよ｣
大我は名残惜しそうにAと離れ、自室に戻り出かける準備に取り掛かった。
その場に残ったAとジェシーの目が合う。
｢大我様、昨晩は心配してずっとここにおられました｣
ジェシーはどこか嫌味を言うようだった。
ジェシーにとって1番大切な人は大我だ。
そんな大我を不安にさせたAに、ジェシーはどうしても快く｢おかえりなさい｣を言えなかった。
Aもジェシーの気持ちを理解し、あえて何も言わずにその場を後にした。
その日、大我は大切な用事があり、帰るのが遅くなるとのことで、Aは1人で家で過ごした。
暇だと余計樹に会いたくなり、何度も何度も樹の名を心で呼んだ。
そして、大我が帰ってきたら自分の気持ちを伝えよう…自分が本当に好きなのは樹なのだ、と伝えようとAは決心した。
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さいか(プロフ) - ちいさん» お褒めの言葉、ほんっとうに嬉しいです(;_;) 最後までどうぞよろしくお願いします！！！ (2019年1月25日 20時) (
レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(プロフ) - ゆりさん» コメントありがとうございます！ ぜひ、最後まで楽しんでください！！ (2019年1月25日 20時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - 初めて読んだ瞬間、なんて素晴らしい文章力だろうと感動しました。個人的に大我くんが好きなので、女の子と上手くいって欲しいな…と祈りながらも楽しく読ませて頂きます笑 これからも応援しています。 (2019年1月24日 20時) (レス) id: a3ba396e6d (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - 今回の作品もとても楽しみにしています！ (2018年12月21日 11時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年12月20日 23時
