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樹はその晩、眠れなかった。
さっき見た光景が頭の中に色濃く残り、睡眠を妨げていたのだ。
大我がAに大きな花束を渡すシーンが、どうしても気になって仕方がない。
あれは明らかに、大我はAに好意を持っている。
その事が何故か、癪に障るのだ。
樹は自分の苛立ちの原因がわからず、余計に苛立った。
その時、枕元に置いていたスマホが振動した。
画面の『A』の文字に、思わずドキリとする。
Aのことを考えていたことが本人にバレたように感じた。
そんなことあるわけがないと自分で否定し、平然を装った声で電話に出る。
｢もしもし｣
『もしもし樹?私、運命の人に会った!!』
樹とは対照的に、Aはかなり興奮した様子の口調で喋りだす。
｢おぉ、それはすごい｣
『白馬に乗った王子様、バラを持って登場した』
｢ん?待て待て、俺の見間違えか?確かそいつは超高級車に乗ってきてたぞ?｣
『樹…イメージだ。さすがにこの時代で本当に白馬に乗ってきたら…私はその人を、運命の人だとは思いたくない』
｢あぁ、悪い。どうぞ続けて｣
『シルクのような金髪をなびかせたその人は、かっこよかった…イケメンだった』
｢顔かい｣
『まずは顔だ。17年待ち続けた運命の人がブサイクだったら…さすがにしんどい』
｢まぁ、確かに｣
『シルクのような金髪、
目はまるで黒真珠のように輝いて…』
自分の運命の出会いを多少美化しながら話すAの喜びは、電話越しでも樹に十分伝わった。
｢で、その人は何と?｣
『ん?あぁ、『結婚しませんか?』って』
｢まさかだとは思うけど、承諾してないよな?｣
『気持ちはイエスだった。でも、案外脳は冷静で、それはちょっと、待ってもらった』
｢よかった、それで?｣
樹は『結婚』というワードに少し焦り、Aが断ったということに安心した。
『じゃあ、今度の日曜にデートしませんか?って』
｢随分と急だな…それで、どこ行くの?｣
『…え?いや、お断りしたけど』
｢………はい?｣
『…だから、丁重にお断りしました』
｢なんで?なんでそんなことになった?｣
『いやだって、今度の日曜、樹とパンケーキ食べに行く約束してたじゃん』
Aは、当たり前の事のようにそう言った。
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さいか(プロフ) - ちいさん» お褒めの言葉、ほんっとうに嬉しいです(;_;) 最後までどうぞよろしくお願いします！！！ (2019年1月25日 20時) (
レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(プロフ) - ゆりさん» コメントありがとうございます！ ぜひ、最後まで楽しんでください！！ (2019年1月25日 20時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - 初めて読んだ瞬間、なんて素晴らしい文章力だろうと感動しました。個人的に大我くんが好きなので、女の子と上手くいって欲しいな…と祈りながらも楽しく読ませて頂きます笑 これからも応援しています。 (2019年1月24日 20時) (レス) id: a3ba396e6d (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - 今回の作品もとても楽しみにしています！ (2018年12月21日 11時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さいか
| 作成日時：2018年12月20日 23時
