ある日きむてひょんが弟になりました

きむてひょんが25匹 ページ27

あれから蜘蛛の巣以外に遭遇することなく無事掃除を終え、家に帰ると。




「…んん？あれ？？」




ドアが開かない件について。



家の鍵はテテに預けてるし…
取っ手を引っ張ってガチャガチャ鳴らしても誰かが開けてくれる気配もない。




え、やばくない？
もしかしてテテ寄り道したりとかで帰ってないとか？





ピリリ ピリリ ピリリ



「あーもう誰！こんなときに！」




タイミング悪くかかってきた電話に投げやりになりながら出ると





『…この家は俺が乗っ取った。入りたければ質問に答えろ。』




「は？いやいや…その声、テテでしょ？」




通話画面を確認しても



うん、テテだ。





「テテ、今家にいるの？早くドア開けてよ！暑いんだから！」



『キ、キムテヒョンは俺の人質となったのだ！いいから質問に答えろ！』




…今おうち乗っ取りごっことかブームなの？

最近の男子高校生ってやばいね。





「……はぁ…はいはい、何に答えればいいの？」



『今日の放課後体育倉庫で何をしていた！答えろ！』



「え…掃除だけど？」



『嘘だ！！』



「いや嘘じゃないし。」



『ヌナ男と喋ってたじゃん！目がハートになってた！俺を先に帰らせて浮気したじゃん！手伝ってあげようと思ってたのにこの浮気者っ！！』




段々と声が荒ぶりだす乗っ取り犯。
思いっきりヌナって言ってんじゃん。




「いや…あれはあの子も倉庫に用事があっただけで…キュンキュンしたのは認める！でもちゃんと掃除してた！」



『キュ、キュンキュンした！？』





うっ、地雷踏んだ…？



しょうがない。
ここは情に訴えかけて、涙なしには見られない私の名演技を。





「ねえテテ…じゃなくて乗っ取り犯様…私…暑くて溶けちゃう…溶ける前に最期にテテに会わせて…」




『え！ヌナが溶ける！？待ってて！…あ、ゴホン、しょうがない！会わせてやる。』





ふっ



ちょろいもんだ。






…ガチャ



ドアがそろりと開いたその一瞬の隙に取っ手を勢いよく引っ張って強引に中に入る。





「あっ！ヌナ溶けてないじゃん！！」



「どう？名演技だったでしょ！話は後でね〜！」





慌てた様子のテテを華麗にかわして靴を脱ぎ捨てながら部屋に駆け込む。









.








ここで私はテテのでもアッパのでもない男物の靴が置いてあったのに気付くべきだったんだ。

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