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長い長い沈黙
もう最後のチャイムは既に鳴ってしまってるから
ほんの ほんの少しだけ吹いた風が
かさり、と葉っぱを揺らす音だけが聴こえる。
そんな音すら拾う程、彼以外に意識を逸らしていないと
私自身が 押し潰されてしまいそうだった。
和也「つまりは、俺に説教しに来たってワケ?そりゃ見ず知らずの連中よりかはカノジョの方が効果はありそうだけど。」
自嘲気味に答える声にまた恐怖が押し寄せる。
和也「自惚れてんの?」
その言葉が
まるで心臓に槍が刺さったかのように心を突き抜ける。
和也「必死だったもんね、俺の好きなことを知っては話題を出して気を引こうって。ま、悪くはなかったけど。健気な子、嫌いじゃないし。」
身体が 動かない
脚どころか彼の表情をうかがうために視線を上げようと首を動かすことすら精一杯で
和也「アンタはさ、酔ってんの。
なかなか振り向かない学校のちょっとした人気者を自分のモノにするために頑張る健気な自分に。
どっかの少女漫画みたいにいつかはホンモノの"コイビト"になれるよう必死になる姿に。
あんな理不尽な条件突きつけられても、いつかはそれを破る時が来るって信じてる"ジブン"に。」
違う
ちがう
チガウ
だけど 声が出ない
彼の言葉一つ一つに 胸が苦しくなる
和也「初恋だったからなのかもしんないけど、そんな自己陶酔に浸るよりもさ。」
やっと
やっと首が彼の方を向いた
やっと
目線も合った
和也「現実見ろよ。」
最後に私の瞳に映った彼は
冷たくて 温度が無くて
かすかに ほんの少しだけ
哀しみが 宿っているように見えた。
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作者名：千也 | 作成日時：2016年6月12日 19時
